お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「月例経済報告
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

月例経済報告「緩やかに回復」維持?

■月例経済報告「緩やかに回復」維持?

12月20日、毎月の景気判断について
政府の公式見解を示す月例経済報告が発表されました。

消費増税後の景気落ち込みが心配される中で、
政府がどのように景気判断をするのか注目の内容は
これまでの判断「緩やかに回復」を維持する
というものでした。

どのようなものになったのか、チェックしてみましょう。

●月例経済報告「緩やかに回復」維持も下方修正

まずはニュースからです。

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12月の月例経済報告 景気判断2か月ぶり下方修正

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/k10012222991000.html
2019年12月20日 17時30分 NHK NEWS WEB

政府は、今月の「月例経済報告」で
景気判断を2か月ぶりに下方修正しました。
景気は「緩やかに回復している」としたものの、
「製造業を中心に弱さが一段と増している」
という表現を加えました。

月例経済報告は、政府の公式な景気認識を示すもので、
関係閣僚会議で今月の内容をまとめました。

それによりますと、企業の「生産」は、
海外経済の減速などを背景に自動車の生産が減少したほか、
鉄鋼・非鉄金属も落ち込んでいるため、
「一段と弱含んでいる」という判断に下方修正しました。
「生産」を下方修正するのは2か月ぶりです。

一方、「個人消費」は、
「持ち直している」という判断を維持しました。

自動車の販売は減少していますが、
消費税率引き上げ後に減少した
家電量販店などの売り上げは
今月に入って回復しているとしています。

また、企業の「設備投資」は、
「機械投資に弱さもみられるが緩やかな増加傾向にある」、
「雇用情勢」は、「改善している」
としていずれも判断を据え置きました。

これらを踏まえて、国内の景気については
「輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に
弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」
という表現に改め、2か月ぶりに判断を下方修正しました。

生産の減少を受けて「製造業を中心に弱さが一段と増している」
という表現を加えた形です。

西村経済再生相「内需が弱い外需を上回る」
西村経済再生担当大臣は、今月の月例経済報告について、
関係閣僚会議のあとの記者会見で、
「製造業の生産の弱さが増しているため、
景気の判断を下方修正した。海外需要が弱いためだが、
一方で国内需要はそれを上回る、
もしくは、支えるようにしっかりしている。
企業の設備投資も強い状態が続いているので、
『緩やかに回復している』ということばは維持している」
と述べました。

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景気判断の政府公式見解である月例経済報告。

消費増税後の各種の経済指標が出揃いつつある中で、
どのような判断をするのか注目の内容は、
次の通りとなりました。

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【現状】

景気は、輸出が引き続き弱含む中で、
製造業を中心に弱さが一段と増している
ものの、
緩やかに回復している。

【先行き】

先行きについては、当面、弱さが残るものの、
雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、
緩やかな回復が続くことが期待される。
ただし、通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、
英国のEU離脱等の海外経済の動向や
金融資本市場の動向の影響に加え、
消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向に
留意する必要がある。

※出典:月例経済報告等に関する関係閣僚会議https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/kaigi.html

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この内容を見て、みなさんはどう感じましたか?
政府は「緩やかに景気回復」していると
認識しているようです。

ところが、冒頭のNHKのニュースでは
「景気判断2カ月ぶり下方修正」と捉えています。

実は、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞などの
多くのメディアでも「下方修正」という内容で報じています。

そんな中、日経新聞だけが
「緩やかに回復維持」と見出しをつけています。

参考)景気「緩やかに回復」維持 12月月例報告―日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO5361468020122019EA4000?s=3

それもそのはずで、12月初めに発表された
10月分の景気動向指数では、
東日本大震災以来の大幅下落となっており、
政府判断も当然悪化すると思っていた人も多かったはずです。

参考)景気動向指数 震災以来の大幅下落
https://www.y-chohobu.com/archives/5768

ところが、今回の発表では若干注釈をつける格好にして
「緩やかに回復」の立場を維持しました。

これを受けた多くの新聞各社は
政府が注釈をつけたところに着目して「下方修正」とし、
日経新聞は趣旨を捉えて「維持」としたようです。

では、今回の政府の景気判断は本当に妥当なのでしょうか?

●消費税の影響は大きいはずだが・・・?

今回の景気判断の内容を見てみると、
かなりおかしいことがわかります。
実は、ほとんど消費増税の影響について
言及していない
のです。

今回の月例経済報告では、
個人消費を次のように評価しています。

「個人消費は、9月の売上増の反動や台風の影響等により、
10月は前月比減。11月以降、
自動車販売は前年割れが続いているものの、
家電やドラッグストアの販売は底堅い。
消費者マインドの影響に引き続き注意。」

消費増税のことは一切言及しておらず、
「9月に(謎の)売上増があり、
台風の影響で減少した」と言っているのです。

ところが、実際の数字は当然ながら酷い有様で、
いずれも2014年の消費増税より悪い状況になっています。

次のグラフは、今回言及のあった
自動車販売、家電・ドラッグストアの販売状況です。

自動車・家電販売状況

ドラッグストア販売状況

これを見て「家電やドラッグストアの販売は底堅い」
と言えるでしょうか。

どう見ても消費増税の影響をモロに受けて、
その後低調に推移しているとしか見えないはずです。
しかも、その影響は2014年の消費増税8%の時より
悪いように見えるにも関わらずです。

このように、政府は何が何でも
消費税の影響を無視する傾向にあるのです。

そう考えると、政府の発表は太平洋戦争末期の
「大本営発表」さながらの様相を呈してきている気がします。

以上、いかがでしたでしょうか。

政府の月例経済報告では相変わらず
「緩やかに回復」となっており、
とことんまで消費増税の影響を無視するもの
になっていることお分かりになったと思います。

実際の数字は、景気動向指数で震災以来の大幅下落を記録し、
10月の家計調査では2人以上世帯の消費支出は
前年同月比5・1%減少したのにも関わらず、
政府によれば「景気回復している」のです。

こうなってくると、もはや中国や北朝鮮の政府発表と
何が違うのかと言いたくなるレベルではないでしょうか。

一般国民としては、こうした政府発表に騙されることなく、
正しい情報から正しい判断をしていくことが
つくづく大切だと感じますね。