こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

さて、今回のテーマは
「各種給付金と確定申告」についてです。

2020年は日本だけでなく、
全世界で新型コロナウイルスが猛威を振るいました。
そして、2021年になった現状でも、
その勢いは衰えることなく、
むしろ、更に激しくなっているとも言えます。

現在は二回目の緊急事態宣言が発令され、
対象となる飲食店に関しては、時短営業要請に
応じた協力金が支払われることになっています。
さらに、飲食店との取引先や外出自粛による影響を受けた
事業者等に対しても、少額ながら給付金が検討されている状況です。

今回の緊急事態宣言は昨年4月~5月に発令されたものよりは
内容が緩和されているので、給付等の対象事業者や時期が
大分絞られたものになると思いますが、
昨年の給付金・協力金等に関しては、多くの事業者の方が
その給付等を受けられたのではないかと思います。

今回は、確定申告も近づいてきたことですので、
昨年度の給付金や協力金と確定申告に関する
「大事な注意喚起」をしたいと思います。

給付金・協力金を受け取ったら申告必須!

■給付金・協力金を受け取ったら申告必須!

新型コロナウイルスの感染拡大防止の為に
昨年4月~5月にかけて緊急事態宣言が発令されたことで、
国や自治体から国民、そして事業者に向けて、
多大な財政出動が行われました。

●実施された給付金等の内容

主だったものをまとめると、

  • 特別定額給付金
  • 持続化給付金
  • 家賃支援給付金
  • 雇用調整助成金
  • 都道府県や市区町村からの協力金
    (例:東京都感染拡大防止協力金など)

以上の5種類になるかと思います。

それ以外にも事業者への融資条件緩和や
融資実行時の利子補助等も支援策としてありますが、
「給付」というカテゴリーで見ると
上記の5種類になると思います。

ただし、この5種類ですが
「貰える」という部分では同じですが、
大きく違う部分があります。

●特別定額給付金とそれ以外の違い

先ほどの5種類の給付金関連ですが、
まず、対象となる人や支給条件が異なります。

給付金・助成金名称 対象者 支給条件
特別定額給付金 全員 (※) 一律支給
持続化給付金 事業者 対象月の前年比売上減
家賃支援給付金 事業者 対象月・期間の前年比売上減
雇用調整助成金 (従業員がいる)事業者 休業手当支給・売上減等
都道府県や市区町村からの協力金 事業者 各種自治体の条件による
※「特別定額給付金」は国民全員ではなく
 住民基本台帳に記載のある人が対象なので、
 日本国籍でも海外居住者のような人は対象外であり、
 外国籍でも住民登録をされている方は対象でした。

上記の表からお分かり頂ける通り、
「特別定額給付金」だけが無条件での全員支給で、
それ以外の給付金や助成金・協力金に関しては、
事業者が給付対象であり、
その中でも緊急事態宣言下の外出自粛等で
何らかの影響を受けて支給条件を満たす事業者のみが
対象というものでした。

そして、これらの違いによって大きく異なるのが、
「課税・非課税」です。

結論から申し上げると、
非課税(確定申告に記載しないでOK)なのは、
「特別定額給付金」だけです。

それ以外の

  • 持続化給付金
  • 家賃支援給付金
  • 雇用調整助成金
  • 都道府県や市区町村からの協力金

に関しては、それを受け取った事業者が
確定申告に必ず記載しなくてはなりません。

法人に関しては、上記の給付金等を受領した後に
20年中に決算を迎えた所も多数存在しますので、
既に記載して申告を終えていると思いますが、
個人事業主に関しては今度の確定申告、
「2021年2月16日(火)~3月15日(月)」
「2021年2月16日(火)~4月15日(木)
において実施することになります。
※申告・納付期限の延長が発表されました。

●なぜ「課税」・「非課税」が異なるのか

では、なぜ「特別定額給付金」だけが非課税で、
その他の給付金等については課税なのか?

それは、この中で特別定額給付金だけは
非課税と法律で定められているからです・・・
こんな回答を知りたいわけではないと思いますが(笑)
勿論、法律で決められているということは重要なのですが、
なぜそうなったのか?ということです。

この「特別定額給付金」だけは、緊急事態宣言下で
急遽働けなくなった人や職を失った人、
新たな方法で日々の生活の糧を得るのが難しい人等を
助ける意味合いも多分にあるものでしたので、
非課税にするという判断がなされたのだと思います。
実際、一律10万円というように確定する前は、
困窮している家庭だけに30万円という案も
あったくらいですからね。

では、他の4種類の給付金等がなぜ課税なのでしょうか?

簡単な所からいくと、「雇用調整助成金」です。
この助成金は元々存在していましたが、
新型コロナウイルスによる影響に対応するため、
大幅に条件緩和して運用されています。

そして、「雇用調整助成金」のような
厚生労働省が実施する雇用関係の助成金は、
高齢者や障がい者を採用するときや、
契約社員やパート社員を正社員として転換するとき等、
様々なケースで適用となるものがありますが、
すべて受け取った事業者の収入(営業外収益)となり、
課税対象となっています。

給与の支払いや雇用契約の変更等については
企業側で支払うのが当たり前のものですが、
国として「○○の雇用を支援したい」、
「■■の状況を改善したい」等の
方針にそった企業に対しての報酬・インセンティブ
のようなものが助成金ですので、
「雇用調整助成金」に関しては、企業の収入であり、
課税対象であるということです。

次にそれ以外の

  • 持続化給付金
  • 家賃支援給付金
  • 都道府県や市区町村からの協力金

こういった給付金・協力金ですが、
コロナウイルスに関わる自粛や活動制限が無ければ
本来存在した(はずの)売上等の補償が目的です。

家賃支援給付金は、その名の通り家賃の支援・負担軽減が目的ですが、
本来であれば家賃支払いも営業活動を行った売上から支払うものですので、
売上(から支払うべき経費の)補償という考えもできます。

  • 持続化給付金
  • 家賃支援給付金
  • 雇用調整助成金
  • 都道府県や市区町村からの協力金

つまり、これら4種類の給付金や助成金は、
売上の補填やインセンティブのようなものですから、
国や自治体からもらうものであっても、
当然、収入・収益であり、「課税対象になる」ということになります。

考え方としては、

「粗利100%の売上」

「消費税が含まれない売上」

このくらいに考えた方が
適切なものだと思います。

●無申告・記載漏れは必ず指摘される!

各種給付金や協力金等が課税対象であることは
ご理解頂けたと思いますが、
必要なのはご理解頂く事ではなく、
今度の確定申告時に受領した分は
きちんと記載することです。

課税対象といっても、本業の内容と合算ですので、
コロナの影響で本業が大赤字なのであれば
給付金分も赤字補填で無くなり、
実際の納税額まで達しないかもしれません。

逆に、給付金を貰った分だけが黒字になってしまい、
その部分だけ納税が発生するとしても、
日本のルール上、100%課税ではありませんので、
全て取られるわけではありません。
なので、しっかり確定申告は済ませましょう。

2020年の確定申告ですが。給付金や協力金を貰っているのに
無申告、申告に記載しないという人たちは、
後々100%指摘されます。
支給の申請を実施していて、銀行口座に振り込まれるという
履歴まで残っているのが、昨年の給付金関連です。
貰っていないは絶対に通用しないでしょうし、
税務調査に入ってくれと自ら言っているようなものです。

さらに、国の税金が支給源になっている制度ですから、
悪質な場合は報道等でさらしものにされるかもしれませんし、
無申告・虚偽の確定申告を実施したことによって、
今後新たな給付金や協力金の支給申請をする際に
対象から外されるということもあるかもしれません。。。

誤魔化すことは100%できないのが今回の給付金関連ですので、
後々指摘されて必要以上の税額を支払うことになるよりは、
きっちり済ませて、憂いを無くしましょう。

給付金・協力金を受け取ったら申告必須!

さて、今回は以上です。
また次回宜しくお願い致します。