こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

さて、今回のテーマも前回に引き続き、
「副業」です。

ついに今月から消費税が10%になりました。
軽減税率制度も同時に始まりましたが
この増税を機に値上がりしたものも多く、
事業者・消費者共に負担が増える状況ですが、
これが逆にメリットとなる場合もある・・・。
ということで、副業や小規模な事業を
始めようとしている人にとって
メリットのある情報をお話していきたいと思います!

副業を始めるなら今!?-②メリットがあるのは時限的

■副業を始めるなら今!?-②メリットがあるのは時限的

前回は「消費税増税で得をする人」
というテーマでお話をしました。

上記でも触れた通り、消費税増税は
消費者・事業者共に負担増となる制度ですが、
レジの販売やキャッシュレス決済業者のような
「特需」を受ける人達以外も、
消費税増税でメリット享受する人がいます。
それは「免税事業者」です。

免税事業者は消費税の納付義務が無いので、
消費税が増税すると、実質的に値上げをしたのと
同様の効果になること、さらに、
個人で始める副業の場合も免税事業者となるので、
その恩恵が受けられること、
こういった内容について触れました。

さて、前回は上記のような
個人で副業を行う人達にとっての
メリットについてお話をしましたが、
今回はそのメリットが時限的、つまり有限である
ということについて触れたいと思います。

●免税事業者への優遇はずっと続くわけではない

免税事業者は消費税納税が必要無い為、
消費税増税分が実質的な収入増(利益増)に
繋がる可能性が高いという点は
ご理解頂けたと思います。

ですが、この状況はずっと続くわけではありません。
今回の消費税増税、どちらかというと
軽減税率制度が導入されたことにより、
時限スイッチが入っている状態です。

2019年10月以降、消費税の計算においては、
「区分記載請求書等保存方式」が採用されます。

今までは消費税が発生する取引の場合は
どんな商品でも一律だったため、
税込の請求書や領収書等が存在すれば
それを証明できたのですが、
軽減税率制度の導入後に関しては、
軽減税率対象の商品が取引に加わる可能性がある為、
その商品や税率毎に区分された詳細を記載する必要があり、
今後はその内容を満たす請求書や領収書等が
消費税額の計算に必要になるということです。

※区分記載請求書等保存方式の説明はこちら
国税庁:区分記載請求書等保存方式の概要

ですが、この方式も2023年(令和5年)10月には、
「適格請求書等保存方式」に変更となります。
そして、この適格請求書等保存方式、
通称「インボイス制度」が始まると、
免税事業者がご自身の商品やサービスに
消費税分を乗せて請求するのが難しくなります。

●インボイス制度とは?

インボイス制度に関しては以前の投稿で触れましたので、
詳細を確認頂きたい方は、下記をご参照ください。

※インボイス制度についての過去記事
消費税、インボイス制度について-①知っておくべきこと
消費税、インボイス制度について-②免税事業者が迫られる選択

簡単にこの通称「インボイス制度」、
正式には「適格請求書等保存方式」について説明すると、

  • 2023年10月以降適用
  • インボイス制度後は消費税計算に適格請求書が必要
  • 適格請求書を発行するには税務署に事前登録が必要
  • 適格請求書発行事業者の登録が認められるのは
    消費税課税事業者のみ

ということです。

このインボイス制度以降は、
発行された請求書や領収書等の内容で
適格請求書発行事業者かそうでないかがわかり、
免税事業者が発行した請求書では
消費税計算時に支払った消費税額を控除出来ない
ということになってしまいます。
つまり、免税事業者に消費税を支払うと、
その消費税分は支払った側が損することになります。

一般消費者向けの商売であれば影響無い!
と思われるかもしれませんが、
飲食店利用者の中には、経費にするために
領収書を求める人もいます。
そういう人達からは2023年10月以降、
適格請求書の条件を満たす内容を
求められるということになります。

●副業を気軽に始められる時期は短くなった!

上記の内容でインボイス制度については、
概要をご理解頂けたと思いますが、
重要な点としては、
「免税事業者に消費税を支払うと
自社の消費税計算・納付で損をする」
ということになる為、
「免税事業者がご自身の請求に消費税を
乗せて請求することが難しくなる」
ということです。

その為、2023年10月以降の免税事業者は、

  • 消費税の受領が難しい免税事業者を継続
  • 消費税支払が発生する課税事業者を選択

このどちらかを選択しなくてはなりません。
そして、当然ではありますが、
どちらを選んでも収入減か負担増となる為、
現在より利益が減少することになります。

恐らくですが、インボイス制度が始まった後に関しては、
消費税の「課税事業者を選択」した方が、
利益の減少は避けられると思います。

理由は、免税事業者でも課税事業者でも
事業を行う原価や経費に掛かる消費税支払は避けられないので、
消費税を受領出来る課税事業者の方が、
純粋に収入額が多いからです。

「消費税を払うけど貰えない」免税事業者、
「消費税を払うけど受け取れる」課税事業者、
という比較で考えるとわかりやすいかと思います。

ですが、課税事業者になった場合は
通常行う所得税の確定申告だけではなく、
消費税の申告(確定申告)と納付が必要になります。
簡易課税制度を選択して申告も簡易に行う方法もありますが、
納税だけではない負担も発生するのが事実です。

このようにインボイス制度が開始された後は
免税事業者で活動される方の状況が
大きく変わることを説明しましたが、
これは副業で個人事業を行う人にも影響する内容の為、
消費税のことを深く考えずに
副業を行ったり、始めたりできる期間は、
「インボイス制度が始まるまで」
ということになります。

これが「副業を始めるなら今!?」
という考えに至る経緯です。
もっと厳密に話をすると、
「個人事業としての副業を始めるなら、
今~2022年くらいまで」
が良いという話になります。

何故、2022年までかと言うと、
2023年にはインボイス制度が開始されるため、
2022年の年末には消費税の免税・課税の選択を
行う必要があるからです。
それを考えずに済むのは2022年の活動まで、
ということです。

●これらの事情が関係しない副業

前回・今回で免税事業者が
消費税増税で受けられるメリットと、
そのメリットが時限的であることをお話しましたが、
こういった事情が全く関係ない副業もあります。

それは、アルバイトやダブルワーク(掛け持ち)等の副業です。
要は「給与」タイプの副業です。

給与にはそもそも消費税は関係ありませんので、
消費税が増えようが減ろうが消費税申告も納税もありません。
2か所以上の給与が発生しているので
所得税の確定申告は必要になりますが、
恐らくどの企業からも源泉徴収票を貰えるので、
確定申告は非常に簡単に済むはずです。

ですので、個人事業としての副業を考えていない人は、
現段階に限らず、どの段階で活動しても影響はありません。

個人事業としての副業か、
ダブルワークでの副業か、
現在よりも人によって判断がわかれそうな時期が
2023年に迫っています。

副業を始めるなら今!?-②メリットがあるのは時限的

さて、今回は以上です。

副業を自分で開始するというと、
大変に感じるかもしれませんが、
以前と比べるとグッと身近になっています。

自営業を始めたという認識が無く、
いつの間にか売上が増えていた・・・
という人もいらっしゃる位です。

ただ、ご自身で売上・利益を上げるようになると、
確定申告が必要になります。
軽微な売上、軽微な利益の場合は、
確定申告水準まで届かない・自分でも応対可能、
という人が多いと思いますが、

  • ご自身で確定申告を行うのが難しい場合
  • 青色申告適用を希望
  • 消費税申告が発生

こういった状況になったら税理士を検討しましょう。

理想は、知人等から紹介を受けられるのが
最も良いと思いますが、
もし、そういった方に心当たりが無ければ、
無料で紹介可能な下記サービスへ是非ご相談ください。

税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/

さて、今回の報告は以上です。
また、次回宜しくお願い致します。