お世話になってます!
現役税理士諜報部員のDです。

さて、今回も引き続き、
「配偶者短期居住権および配偶者居住権」
というテーマでお話していきます。

<前2回:下記リンク参照>
※配偶者短期居住権および配偶者居住権について-①はじめに配偶者短期居住権および配偶者居住権について-②それぞれの説明

配偶者短期居住権および配偶者居住権について-③配偶者居住権創設の経緯

■配偶者短期居住権および配偶者居住権について-③配偶者居住権創設の経緯

前回は「配偶者短期居住権」と
「配偶者居住権」の権利内容について
簡単に説明しました。

今回は、より詳しい話として、
「配偶者居住権」が創設された経緯
についての具体的な説明を進めていきます。

●前回の簡単なおさらい

配偶者短期居住権とは、
配偶者は、被相続人の自宅に相続開始時、
無償で居住していた場合には、
相続開始時から6月を経過する日、
または遺産分割が確定した日のいずれか遅い日までの間、
自宅を無償で使用する権利、のことをいいます。

一方、配偶者居住権とは、
配偶者が遺産分割終了後にも
原則として終身の間、継続して無償で配偶者に
その建物の使用を認めるものになります。

●配偶者居住権の意義

今までは、配偶者が引き続き自宅に
居住し続けることを保障する
法定の権利は存在しませんでした。

したがって、配偶者が自宅に
相続発生後も済み続けたいと考えた場合には、
自宅を相続し所有権を取得するか、
または、自宅を相続した他の相続人との間で
賃貸借契約や使用貸借契約を締結する方法しか
ありませんでした。

ただ、その場合はどちらの場合も、
配偶者にとっては負担の大きいものであるのが実情でした。

まず、自宅の所有権を取得した場合には、
その建物の評価額分が相続分の計算に
算入されることになります。
そのため、建物が高額である場合には、
配偶者は、生活資金に充てるべき現預金等の財産を
わずかしか相続することができなくなってしまう
という問題が生じ得ました。

次に、自宅を相続した相続人との間で
賃貸借契約を締結する場合ですが、
相続人と配偶者の関係が悪く、
そもそも契約自体を締結することができなければ、
この方法により配偶者が居住を継続することは不可能です。
仮に賃貸借契約を締結することができたとしても、
配偶者は賃料を負担し続けることとなり、
相続後の生計を圧迫するという問題がありました。

さらに、使用貸借契約の場合には、
自宅の借家人として権利が弱く、
居住者としての地位が不安定になる
という問題がありました。

一方で、相続が発生した場合、
残された配偶者も高齢であるケースが想定されます。

配偶者は新たに住居を探すことや、
新しい環境へ順応することが困難であることは
容易に相続できるにも関わらず、
これを看過することは妥当ではありませんし、
ライフスタイルの変化に伴い、高齢者の再婚も増加し、
配偶者と子の関係性が良好とはいえないケース、
つまり、子が自宅を相続して、
配偶者の生活を保障することが
難しいケースも出てきてしまいました。

そこで、配偶者に従前どおりの生活を
保障するための制度が必要となり、
配偶者居住権が新設されたのです。

今回は以上です。
次回も同様のテーマで、
「配偶者短期居住権及び配偶者居住権」
について触れてみます。

新しい法律等が出てくると、
今まで知識だけでは応対が難しくなるため、
相続の対策等にも影響が出る場合があります。

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それでは、また次回宜しくお願い致します。