お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「消費税増税賛成派の意見」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

「やはり消費税は必要だ!」 消費増税したい面々

「やはり消費税は必要だ!」 消費増税したい面々

前回記事にまとめたように、
萩生田発言で消費増税の実施をめぐる攻防戦が
水面下で本格化しているようです。

一般国民の多くは「消費増税はやめてくれ」
と思っていると思いますが、
一方で「消費増税は絶対必要!」
と息巻く面々もいることが
浮き彫りになってきました。

そこで、今回は消費増税を絶対やってほしい
と考える面々がどのような人々で
何を考えているのかをまとめてみたいと思います。

●萩生田発言が浮き彫りにした増税推進派たち

萩生田発言で消費増税延期への期待が一気に高まった反面、
それを抑え込もうとする面々の動きも表に出てきました。

経済界では、経団連、日商、経済同友会の
経済3団体は全て消費増税推進を表明。

新聞社では、全国紙から地方紙まで
ほぼ例外なく全紙が増税推進を主張。

財務相では、4月17日の分科会で
「財政健全化どころか一段と財政を悪化させてしまった
平成という時代における過ちを
二度と繰り返すことがあってはならず、
手をこまねくことは許されない」とまで言い切っています。

さらには、海外からも増税圧力がかけられており
OECD(経済協力開発機構)は
「プライマリーバランス黒字化のために
26%まで引き上げろ」と言い出す始末。

一体なぜここまで多くの団体が
消費増税を推進しようと躍起になっているのでしょうか?

それぞれの主張を見てみましょう。

●経済3団体の思惑は「法人減税と社会保障費軽減」

先日の萩生田発言の反応で最も印象的だったのは、
日本商工会議所の三村会頭の
「ちょっと信じられない。僕には理解できない」
という発言だったのではないでしょうか。

まさに完全否定という調子で、
消費増税は必ず実施すべきだ
という意向が強くにじみ出たものでした。

また、経団連、同友会も、
足並みそろえて消費増税推進を表明しています。

■経団連 中西会長のコメント(2018年10月15日)

「社会保障制度の持続可能性の確保
および財政健全化のために消費税率の引き上げは不可欠である。
今般の安倍総理の引き上げ表明を歓迎する。

2017年の衆議院選挙では、
与党は全世代型社会保障の確立に向け、消費税の使途を変更し、
10%への引き上げを行うことを公約としていた。
先般の衆議院選挙の結果により、
国民の信任はすでに得ていると理解している。

引き上げにあたっては、自動車関係諸税の抜本改革や
住宅にかかる予算・税制上の万全の対策等、
総合的な政策パッケージを着実に実現することが重要である。」

■経済同友会 桜田代表幹事のコメント(2019年4月26日)

「財源は10月の消費税増税では不十分で、
(消費税率は)17%程度への引き上げが必要。
65歳以上の高齢者の柔軟な働き方改革で、
年金などの『いずるを制する』ことに加え、
財源問題の解決策を早期に提示すべきだ。」

経済同友会は、2015年時点で
消費税率17%まで段階的に引き上げる提言をしており、
麻生財務相に手渡しています。

■日本商工会議所 三村会頭のコメント

※省略。前回記事をご確認ください
https://www.y-chohobu.com/archives/5101

日本商工会議所は、全国にある商工会議所を束ねた組織で、
中小零細企業を中心に125万社加盟しているとされています。

消費増税・軽減税率対応への影響が最も大きく
且つ企業側へ大きな負担となるはずなのですが、
どういう訳か絶対推進という感が伝わってきます。

ちなみに、2018年9月段階では
「軽減税率制度の導入はゼロベースで見直すべき」
として提言しており、中小零細企業の準備が
進んでいないことを危惧していたはずなのですが・・・。

このように経済3団体が軒並み揃えて
「消費増税推進」を主張しています。

その主な理由は、
「増大する社会保障」「財政再建」
を掲げているようです。

ですが、これらの理由は表向きのものであって、
本当の目的は別にあります。

まずは、このグラフを見てください。

日本の税収推移

※出典:財務省

これは我が国の税収の推移を
グラフ化したものです。

平成元年に導入された消費税(黒の折れ線)は、
平成9年に5%に引き上げられ、平成14年には法人税を一時抜き去り、
5%から8%になった平成26年には所得税にも迫る勢いで、
消費増税10%となれば完全に消費税が
我が国最大の税源となる見込みなのです。

また、税収の総額を俯瞰して見てみると、
40~60兆円の間で変動する中で、
消費税額だけが一方的に上がり、
所得税額、法人税額が減少してきた傾向が見て取れると思います。

つまり、所得税、法人税から消費税へ
税源の付け替えが進んでいるわけです。

経済3団体は、消費増税を提言する一方で、
法人税・所得税の低減を訴えており、
実際にそうなってきたわけです。

要するに、経済3団体が消費増税を推進する理由は、
「法人税・所得税低減」が本当の目的だというわけです。

加えて、経済3団体が「社会保障費増大」についても
心配しているような発言をしていることにも注目してください。

よく考えてみればわかることですが、
従業員の社会保障費は企業側が折半で負担しているのです。

つまり、社会保障費が増大することになれば、
企業側の負担も増えることを懸念しているわけです。

このように経済3団体が主張する消費増税推進の主張は、
決して国の将来や財政規律などを憂いてされているものではなく、
ただ単純に「企業の負担を下げろ」と言っているだけなのです。

●新聞各社の思惑は「新聞定期購読の維持」

新聞各社も同様に自分たちこそがまさに正義
だと言わんばかりに、「消費増税推進」を主張しています。

その理由も、「財政再建」「社会保障改革」など
御託を並べていますが、その真意はどこにあるのでしょうか。

公約では「消費増税には手を付けない」豪語していた野田元総理が、
公約などどこ吹く風で「税と社会保障の一体改革」を掲げ
消費増税を決定した際には、
新聞各社は次のような社説を掲げています。

※2012年当時の社説

朝日新聞「やはり消費増税は必要だ」

日経新聞「首相はぶれずに突き進め」

読売新聞「首相は審議入りへ環境整えよ」

その内容は、
「国の借金が1000兆円もあり財政再建が必要」
「将来世代へツケを回してはならない」
「低所得者への対策を忘れるな」
といったようなものです。

そうした新聞各社の主張もあって、
食品類と新聞だけに軽減税率が
適用されることになりました。

新聞各社の主張によれば、
「新聞はニュースや知識を得るための負担を減らすため」とか
「活字文化の維持・普及にとって不可欠」などとしています。

ですが、その適用範囲を確認してみると
おかしな点があることがわかります。

  • 定期購読契約が締結されていること
  • 週に2回以上発行されること
  • 政治や経済などの一般社会的事実を掲載されていること
  • 新聞紙であること(電子版は除外)

どういうわけか、定期購読だけが対象となっているのです。
コンビニや駅売店などで購入する新聞は
対象外というわけです。

本来であれば、新聞各社が主張する「情報取得の負担軽減」や
「活字普及」といった目的に対して、
「定期購読のみ」という差別的な状況を
批判するはずなのですが、
そうした声は新聞各社から一切聞こえてきません。

つまり、ここに新聞社の真意があるのです。

購読数の減少が深刻化している新聞社は、
消費増税にかこつけて「定期購読へのインセンティブ」
を得ようと目論んだわけです。

おそらく「コンビニなどで買うくらいなら定期購読した方が安い」
と印象付け、定期購読促進につなげたいのでしょう。

また、もう一つポイントがあります。

定期購読は所定の金額での
「契約締結」が前提となっています。

そのため、消費増税などで金額が変わってしまった場合、
契約を顧客と締結しなおさなければならないわけです。

ただでさえ新聞の定期購読は解約が増えている状況ですから、
顧客に不用意に契約継続を考える機会を与えることは
絶対に避けたいという事情がありました。

つまり、軽減税率は2%が絶対条件で、
5%軽減といった現状より負担が軽くなるようなものも
価格が変わってしまうのでNGだったわけです。

結局、どのような差配があったのかはわかりませんが、
新聞各社の目論見通り「定期購読のみ」「税率は現状維持」
を獲得することになったのです。

とは言え、これらは消費増税が延期や凍結となってしまえば
意味がありませんから、ここぞとばかりに必死に増税しろと
最近主張しているのはこのためでしょう。

●財務省の思惑は・・・?

経済界や新聞各社が主張するものと同様、
財務省も同じようなことを言っています。

財務省HPには、次のようなことがかかれています。

───────────────────────────────────

Q.なぜ所得税や法人税ではなく、
消費税の引き上げを行うのでしょうか?

A.今後、少子高齢化により、
現役世代が急なスピードで減っていく一方で、
高齢者は増えていきます。社会保険料など、
現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、
社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、
一層現役世代に負担が集中することとなります。
特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて
国民全体で広く負担する消費税が、
高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。

───────────────────────────────────

この回答を見て、「なるほど」と納得できましたか?

実は、この回答は論点がずれたものになっています。
税金の目的の1つに「富の再分配」
または「所得再分配」があります。

これは、所得を公平に分配するため、
租税制度や社会保障制度などを通じて
貧富の格差を緩和させ、階層の固定化や
社会の硬直化を抑制するためのものです。

所得税は累進課税で、高所得の人ほど
税率が高くなる制度です。

一方、法人税は定率ではありますが、
資本金や年間所得に応じていくつかの税率に分かれるため、
多少累進制があると言えなくもありません。

加えて、社会保障の観点から見れば
多くの従業員を雇う企業は、
その分社会保障費を負担しており、
結果的に累進性を伴っています。

そうした前提を踏まえて、
財務省の回答をもう一度読み返してみると、
次の点がひっかかるのではないでしょうか。

「所得税や法人税の引上げを行えば、
一層現役世代に負担が集中する」

「国民全体で広く負担する消費税が~(中略)~ふさわしい」

財務省の回答では、
「所得税や法人税の引き上げが“現役世代”に負担が集中する」
とありますが、「現役世代」とは誰のことでしょうか?

当然ですが、所得税や法人税には
年齢は一切関係ありません。
高齢であろうが若年であろうが高所得であれば、
応分の負担をするのが所得税ですし、
もちろん法人税も年齢が関係するわけがありません。

つまり、「現役世代に負担が集中する」
というのがまったくのウソなのです。

正しくは、「高所得者に負担が集中する」
と表現すべきです。

では、そこを読み替えて
もう一度見てみればわかると思います。

「所得税や法人税の引上げを行えば、高所得者に負担が集中する。」

「国民全体で広く負担する消費税が~(中略)~ふさわしい」

つまり、所得再分配機能を減らし、現役世代のみならず、
成人前の子どもや赤ちゃんにまで事実上負担を分配し、
累進課税性を弱めようとしているわけです。

なぜ、累進課税性を弱めようとしているのか。
それを理解するには、少し過去の経緯を
振り返る必要があります。

もともと19世紀から20世紀にかけて欧米諸国では、
拡大しすぎた貧富の差を緩和させるために、
社会保障を充実し福祉国家を目指すことで、
結果的に経済発展をもたらし、
国民から大いに歓迎されました。

ですが、福祉国家は大きな財政負担を伴い、
インフレーションを促進する側面があったため、
1970年代のオイルショック時に不況転じたにも関わらず
インフレーションが続くという
スタグフレーションが国際的な問題となりました。

そうした中で、1980年代に
ミルトン・フリードマンなどの主張に基づいて、
米国や英国を中心に福祉国家政策が見直され、
所得再分配機能を抑制し、経済競争を重視する政策が
採用されるようになりました。

日本でも、再分配政策の見直しが
マスコミや学者の中で主張されるようになり、
1989年に消費税3%導入、1997年に消費増税5%とあげられ、
小泉内閣、現在の安倍内閣でも引き継がれています。

つまり、消費税は所得再分配機能を
弱めるために考えられた税制なのです。

ですが、所得再分配機能の抑制には
デフレーションと信用収縮(銀行の融資条件の過激な厳粛化)
という負の側面があり、
日本は世界に例を見ないデフレ不況に陥り、
失われた20年とも30年とも言われる状況になってしまったのは、
みなさんがご存じの通りです。

つまり、「間違った政策を継続し続けてしまった結果」
が今の状況なのです。

ですが、消費税が導入されてから現在までの間、
所得再分配機能の抑制が失敗だった
という議論はほとんどされていません。
(正確には、多くの国民は消費税の本当の目的を
知らされていないので議論にすらなっていないのでしょう。)

それどころか、消費税導入に尽力した当時課長だった大蔵官僚は、
事務次官レースの先頭に立ち、国税庁長官を経て
念願の大蔵事務次官となったという輝かしい経歴を残しています。

つまり、消費税を制した者が
出世レースに大きなアドバンテージを得る
という前例ができたというわけです。

要するに、財務省は間違った政策を継続するという
「事なかれ主義」を基本として、
「出世レースのネタ」として消費増税を進めている
というのが本当のところと言えそうです。

そのためには、「現役世代に負担が集中する」とか
「将来世代へツケを回すな」などと
所得格差の問題を世代間格差の問題にすり替える
という国民をだましてでも進めるというのが
財務省というところなのでしょう。

以上、いかがでしたでしょうか。
それぞれの団体が如何に自分たちの利益だけを考えて、
都合の良い話をしているかよくわかったのではないでしょうか。

とは言え、経済3団体や新聞各社、それに財務省。
異なる立場の団体が皆足並みそろえて
「消費増税推進」で結束するには、
それぞれの利害が上手くバランスしなければなりません。

これは、偶然に出来上がったものではなく、
誰かが絵に書き、着々と進めてきたのです。

そんなことができるのは・・・財務省しかありませんね。
そう言った意味では、財務省が優秀
というのは間違いないと思います。

ただ一方で、自分たちの利害だけを追求するあまり、
国民の敵になっていることも間違いなさそうですね。。。