こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

さて、今回のテーマも引き続き、
「個人事業主への税務調査」ということで
まとめていきたいと思います。

<前2回:下記リンク参照>
※個人事業主に税務調査は来ないのか?-①大前提個人事業主に税務調査は来ないのか?-②昨年の相談事例

「個人事業主と税務調査は無縁」
なんてお考えの方も中にはいるようですが、
実際にそんなことはありませんので、
こちらの内容で、そんな考えは捨てて、
確定申告を適切に進めて頂くことの
重要性を感じて頂ければと思います。

こんな所にはいつか必ず来ます-個人事業主に税務調査は来ないのか?③

■こんな所にはいつか必ず来ます-個人事業主に税務調査は来ないのか?③

前回のお話では、
昨年弊社に相談のあった、
「個人事業主の税務調査事例」
についてお話をしていきました。

2事例お話しましたが、
両方に共通していたのは、

  • 売上除外
  • 数年間同様の処理

という状況でした。

忙しくて・・・等の事情はあるにしても、
それならば税理士に依頼すれば良いという話で、
真っ当に申告・納税をされている人の方が
多数なわけですから、
こういった人達を税務署が見逃すわけがない、
という状況についてお話をしていきました。

今回は、より詳しいお話として、

「こういった人には
いつか必ず税務調査が来る」

という不正内容等について
お話をしていきたいと思います。

●こんなことをしていると対象になりやすい?

早速お話を進めていきますが、
こんなことをしていると
調査に入られやすい内容は、
以下のようなものです。

  • 売上除外
  • 消費税関連
  • 無申告

まあ、聞いてみれば当たり前だ、
と思うかもしれませんが、
順にお話をしていきます。

【売上除外】

前回の相談事例でも触れましたが、
この「売上除外」、簡単に言うと、
得た売上金額を少なく申告するという内容は、
簡単に不正が出来てしまいます。

それこそ、確定申告書を作成の際に、
経費や控除額は全てきちんと入力し、
「売上」の部分、個人事業主ですと
事業収入の部分を少なく記載するだけで、
不正完了となってしまいます。

そして、簡単に出来てしまうというだけでなく、
売上自体を減額するわけですから、
利益額に与えるインパクトも大きく、
税額もかなり圧縮されます。

ただし、この不正は簡単に出来てしまう分、
厳しくチェックされますし、
容易に不正が発覚します。

売上入金が口座振込なのであれば、
金融機関の入金履歴を照合するだけで
実態がわかってしまいますし、
飲食店等の現金商売であったとしても、
店舗にある情報と整合していくことで、
不正がある場合はズレが指摘されます。

「じゃあ、現金商売なら、
申告内容と実態とが照合できる
情報が無ければ、大丈夫じゃないか?」

というのは安易な考えです。
現段階としては、白色申告であっても、
最低限の簡易帳簿や証票類(領収書等)の保管が
求められていますので、
実態と照合できない時点で、
税務調査はかなり厳しい状況になります。
※実態の証明が出来ないと申告内容が否認されやすい

そして、計算間違いならまだしも、
恒常的に売上除外をしているという
税務調査結果になった場合は、
重加算税の対象となりやすいです。

この売上除外は、不正を行うのは
書面上だけなのですごく簡単ですが、
辻褄合わせはかなり難しく、
簡単に発覚しやすい、ということです。

【消費税関連】

消費税関連の不正ポイントは、
大きく分けて2点です。

1、消費税逃れ

上記の「売上除外」とやることはほぼ同じです。
ただ、目的が明確で
「売上を1,000万円以下」にする、
という為の売上除外です。

現段階の消費税の法律では、
「売上が1,000万円以下の個人事業者」
に関しては、消費税納付が免除されています。
簡単に言うと、自分の売上には消費税を加えても、
貰った消費税は納めなくてOK、ということです。
経費等の支払いで自分も消費税を支払うので、
消費税分が丸ごと利益になっている、
ということではありませんが、
それでも非常に大きいメリットです。

だからこそ、1,000万円を少し超える程度の
売上の事業者に関しては、
引き続き消費税を納めたくない、と考える方が
一定数存在するのが事実です。

どうしても消費税納付を先に延ばしたい、
という事であれば、消費税を納めるのは
2期前(個人であれば2年前)の売上が
1,000万円を超えたかどうかが判断基準ですから、
年商1,000万円を突破した翌年の後半くらいに
法人化して、翌々年からは法人のみで活動する、
というのがルールに則ったやり方ですが、
法人設立にもお金はかかりますし、
法人化した場合は申告等も税理士の力を借りないと
難しくなってくるのが事実です。

ということで、安易に売上の金額だけを
少なく申告するという方法を
取ってしまう方がいるのですが、
前段の通り、売上除外は厳しく見られており、
特に、消費税逃れをする為の1,000万円付近の方は
尚更厳しく見られているので、
すぐに発覚してしまいます。

こういった方たちの税務調査に関しては、
3~5年前くらいの売上実態を調査され、
売上を除外した年度の所得税だけでなく、
今まで未払いだった消費税まで一気に請求され、
全てにペナルティとなる加算税が乗せられます。

2、消費税還付

消費税関連のもう一つは、
消費税還付に関する話です。

消費税は、国内での活動に対してかかる税金なので、
国外向けの輸出事業を営む事業者は、
輸出事業に関連する経費で支払った
消費税分の還付を受けることが出来ます。

※国税庁:輸出取引の免税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm

こちらの内容ですが、簡単に言うと、
消費税を貰えない輸出事業者には、
支払った消費税を還付してあげるよ、
ということなのですが、
税務署からのチェックが厳しい項目です。

理由としては、不正還付が多いこと
そして、それを防がなくてはならないからです。

こういった還付制度は悪用する人が存在します。
実態が伴わない経費を申請する人、
輸出事業を営んでいないのに
還付を受けようとする人、
こういった人達に税金を還付するわけには
いかないので、厳しくチェックされる
ということです。

ただし、消費税の還付申告を
行うような時点で
税理士と関与していない事業者は
ほぼ存在していないと思いますが、
この消費税還付の内容に関しては、
真面目に申告していても、
税務調査には入られるケースは、
通常の事業者よりかなり多いと思います。

税務署としても、「還付」に対しては
厳しく見ているということと、
不正をする人が一定値存在するなら、
ある程度総当たりしようという
考えなのかもしれませんね。

【無申告】

最後は無申告です。
これは不正の極みと言っても
良いのかもしれませんが、
確定申告をせずに放置、
というだけでこうなってしまいます。

無申告の個人事業主は、
当然、納税も0円です。
所得税だけでなく、住民税も払っていません。
誰かの扶養に入っていなければ、
国民健康保険と国民年金は払っている、
ということになるかもしれませんが、
こういったケースの方は、
医療機関は利用するので健康保険は払っているが、
年金は支払っていない等のケースもあります。

10代や、ある程度の高齢者であれば、
無収入か納税水準以下なので無申告という状態も
不審ではありませんが、
成人して本来働いているべき年齢で、
扶養にも入っていない状態は、
日本国内においてはかなり異常です。

不自然でないとすれば、
相続で受領した預貯金が多分に存在し、
それを取り崩す生活をしている、
というケースくらいでしょうか・・・
※不動産や株式運用なら確定申告と納税必要

ただ、今回のお話は、

「個人事業主」

の方をテーマにしていますので、
無申告の方に関しては、
ほぼ間違いなく脱税状態だと思います。

こちらに関しては、

「無申告でも何も言われない」

ということで放置している方も
今までにいらっしゃいましたが、
非常に危険です。

個人事業主であれば、
業務上の売上や経費だけでなく、
金融機関の口座、クレジットカード、
水道光熱費の支払い等々、
お金を動かしている履歴が多分に残っています。
税務調査に入られた際に
言い逃れができる状況ではありません。

「無申告でも何も言われない」

ではなく、

「まだ税務署が来ていないだけ」

です。

はっきり言って時間の問題ですので、
税務署が来る前に自ら是正しましょう。

●不正がバレてしまう理由

今回は税務調査の対象となりやすい
不正内容や状況についてお話をしていきましたが、
最後に絶対にご理解頂きたい点というのが、

「不正はバレる」

ということです。

これは、きちんと考えていくと
ある程度お分かり頂けると思うのですが、
お金の流れがその理由です。

仕事というか経済の仕組み的なものですが、
今、手元にあるお金というのは、
自分が持っているだけでは1円も増えません。
タンス預金は全く増えないということです。

だからこそ、手元にあるお金は
誰かに貸すなり、運用するなり、
それを元手に何かの商売をしないと
増えない訳です。
つまり、他人から貰う事でしか
自分のお金は増えないのです。

ここで、他人との取引が行われるのですが、
「不正がバレる」というのは
この「他人」が介在するからです。

自分が不正を行った場合は、
自分だけがそれを誤魔化しても、
取引をした他人と整合性が無いと
すぐにバレてしまいます。
つまり、その取引相手にも
誤魔化してもらわないといけない、
ということです。

そして、その取引相手も自分以外の誰かと
取引をしているわけですから、
その相手にも誤魔化してもらわないといけない。
一つの嘘を隠す為に、
別の嘘をつかなければならない、

こういう状況が続いてしまうわけです。

この状況、綻びが生じない訳がないですし、
さらに、税金やお金に関しては、
「税務署」という不正を見抜くことを仕事に
している人がいる状況ですから、
今すぐではなくても、いずれバレてしまう、
ということです。

税務調査で多額の追徴課税を払うことに
なった事業者様のお話を聞くと、

「ケチらずに税理士に頼めばよかった」

「ちゃんと申告すべきだった」

「追徴課税がこんなに重いとは知らなかった」

等々、すべからくご自身の安易な判断、
軽率な行動を後悔している内容ばかりです。

脱税はハイリスク・ローリターンです。
個人事業主の方でも、これはしっかり
肝に銘じておいて頂ければと思います。

こんな所にはいつか必ず来ます-個人事業主に税務調査は来ないのか?③

さて、今回の報告は以上です。
次回も同じテーマ、
「個人事業主に税務調査は来ないのか?」
で報告したいと思います。

再三再四申し上げておりますが、
個人事業主でも申告・納税は
甘く考えない方が良いです。

税務調査の対象にはなりたくない、
でも、確定申告や会計等は諸々面倒、
わからない!!という方に関しては、
悪いことは言わないので
税理士に依頼すべきです。

税理士に依頼すると費用は発生しますが、
自営業の方であれば、税理士への報酬も経費です。

そして、税務調査で指摘を受けて
追徴課税が発生すると、
本来納めなくても済んだ(はずの)税金を
支払うことになってしまいます。
こんな状況になってしまうよりも、
税理士に依頼して税理士報酬を支払う方が、
税理士から適切な節税助言を貰えて、
青色申告も適用出来、金額的にも
得をすることになると思います。

知人に税理士がいたり、
税理士に頼んでいる同業者から
紹介してもらえたり、
という事であれば問題無いですが、
心当たりがないようでしたら、
是非こちらにご相談ください。

税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/

また、次回宜しくお願い致します。