お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「景気動向指数」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
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■すでに景気後退してた!? 景気動向指数3ヶ月連続で悪化
3月7日、景気動向指数の
1月分速報値が発表されました。
それによると、景気動向指数が
1月を含め3ヶ月連続で悪化し、
下方局面へ変化したと判断されたようです。
1月の月例経済報告で
「景気回復が戦後最長になる可能性が高い」
との発表がありましたが、
ここに来て状況が変わってきたようです。
どういうことなのでしょうか? まとめてみます。
●景気動向指数「下方への局面変化」
まずはニュースからです。
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「戦後最長の景気拡大」に疑問符 1月の景気「下方へ」引き下げ
3/7(木) 20:48配信 毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190307-00000088-mai-bus_all
内閣府は7日、1月の景気動向指数(速報値)を公表し、
景気の基調判断を「足踏み」から
「下方への局面変化」に引き下げた。
中国向けの輸出減で企業の生産が
落ち込むなどしたことが要因。
1月以前に景気が後退局面に入っていた可能性があり、
2012年12月に始まった「戦後最長の景気拡大」に
疑問符がついた格好だ。
1月の景気動向指数で景気の現状を示す
一致指数(15年=100)は、
97.9と前月から2.7ポイント低下し、
3カ月連続で前月を下回った。
一致指数は企業の生産や販売、雇用など
九つの経済指標で構成。
中国向け機械の生産が落ち込んだほか、
暖冬で冬物衣服の販売が鈍化するなど
8指標が悪化要因となった。
内閣府は昨年9月、基調判断を
「改善」から「足踏み」に引き下げ、
今回「下方への局面変化」との表現に変更した。
この表現を使うのは消費税率8%への
引き上げの影響が続いた
14年11月以来、4年2カ月ぶり。
内閣府はこの表現について、
「既に景気後退局面に入った可能性が高いことを
暫定的に示している」と定義している。
それでも政府は、12年12月の第2次安倍政権発足と
同時に始まった景気拡大が今年1月まで74カ月続き、
「戦後最長を更新したとみられる」
との認識を崩していない。
菅義偉官房長官も7日の記者会見で
「(回復基調という認識は)変わらない」と説明した。
景気の拡大・後退は、
半年~1年後のデータなどを考慮した
内閣府の有識者会議の意見を踏まえ正式に認定する。
今回の基調判断は指数を一定の基準に
機械的にあてはめたもの。
1月の対中輸出減は「春節(旧正月)の時期のずれによる
一時的な要因」(内閣府幹部)との見方もあり、
構造的な景気後退局面に
入ったかどうかはまだ不透明だ。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは
「輸出や生産の減少分を2月に取り戻せるかが焦点。
取り戻せなければ、『戦後最長景気』ではなかった
と判断される可能性も十分ある」と指摘している。
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一番のポイントは、現在の景気を判断する上で
参考となる景気動向指数(CI)が
3ヶ月連続で減少したことです。
景気動向指数(CI:Composite Index)は、
9つの指標をもとに算出されたもので、
前月との相対的な伸びがどうなったかを
総合的に評価したものです。
そのため、3ヶ月連続してマイナスとなれば、
月毎の増減などのブレではなく
「本当に衰退しはじめた可能性がある」
と見ることができるわけです。
今回の内閣府の発表で、基調判断が
「景気動向指数(CI)は、
下方への局面変化を示している。」
とされたことで、
「景気後退か?」と騒がれ始めたわけです。
●景気後退ではない? ・・・のか?
今年1月に「2019年1月までで
景気回復が戦後最長になる可能性がある」
と発表していました。
※詳しくは、こちら。 参照記事:景気回復「戦後最長」!? 本当なの? https://www.y-chohobu.com/archives/4896
今回の発表が2018年10月から2019年1月までの
景気動向指数の低下が示されたことで、
「景気回復の戦後最長記録」が
達成できていなかった可能性がある
ことになるわけです。
そうしたこともあって、
各社一斉に関係者への取材を行っており、
次のように述べています。
茂木経済財政・再生相
「景気判断は、生産や雇用だけでなく
様々な経済指標を分析するなど
総合的に判断して決める。」
菅官房長官
「(緩やかに回復しているという景気認識は)
変わりない」
麻生財務相
「現時点では緩やかな回復が続いている」
皆一様に、「景気回復が続いている」
という認識であることがわかります。
こうした政府側の対応に
「安倍政権が景気後退を隠している」
などと一部が騒ぎ始めていますが、
政府側の対応は、形式上間違っていません。
政府の景気判断は、景気動向指数などの
数値だけではなく
「総合的に判断」されているのです。
●景気判断は誰がしているのか?
政府の景気判断は、内閣府に設置された
「景気動向指数研究会」によって行われています。
この研究会は、第三者の経済学者などで
構成されており、景気の山や谷を判断したり、
景気動向指数の改善などを行っており、
この結果を経済財政相が
「月例経済報告」で発表するのです。
つまり、実質的に「景気動向指数研究会」が
会議で景気判断を行っているわけです。
その決定方法には明確な基準があるわけではなく、
各種のデータを参考に出席者の議論によって
行われているようです。
そのため、景気動向指数がいくら下方局面であっても
議論によって景気後退と判断されない
こともあるのです。
過去の事例を見ればよくわかると思います。
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このグラフは、景気動向指数(CI)の推移です。
赤字で「山」と「谷」と書かれている箇所が
研究会で判断された景気の山・谷で
網掛けされている箇所が
「景気後退期」を示しています。
つまり、網のかかっていない箇所である白部分は
景気回復期というわけです。
これを理解した上で、
グラフを確認してみてください。
過去の景気後退期(網掛け部分)に
異論がある人はあまりいないと思います。
ですが、戦後最長かもしれない
12年12月からの景気回復期には
「おや?」
と思う箇所があるのではないでしょうか?
グラフで見ると一目瞭然ですが、
2014年3月をピークに
16年8月頃まで下降し(赤丸で囲った部分)、
その後一定幅を増減している
と見ることができると思います。
このピークとなった2014年3月は、
消費増税8%が原因です。
つまり、消費増税8%が行われた
2014年4月から景気動向指数は
数年間にわたって低迷していたのです。
もちろんその際の「景気動向指数の基調判断」は、
「下降局面」だったり「悪化」だったりしてました。
ですが、景気動向指数研究会は、
2014年3月を景気の「山」と判断をせずに
スルーしたのです。
その結果、現在までも「景気回復期」が続き、
「戦後最長になるかも」という状況にあるわけです。
これが、「戦後最長の経済成長」の正体なのです。
●今回の「下方局面」も「景気回復」になる
おそらく今回の「下方局面」も
「経済成長期」と判断されることになるでしょう。
景気は山・谷で判断されますが、
消費増税8%の実施を景気の山と判断しなかったため、
どこを「景気の山」と判断すべきかが
決めきれないでいるのです。
つまり、ここまでズルズルと来てしまった現在は、
数年程度の低迷が今後起きたとしてもそのまま
「景気回復期」と判断されることになってしまう
可能性が高いのです。
以上、いかがでしょうか。
おそらく今回程度のことでは
「景気判断は変わらない」ことになるはずです。
ただ、こうした対応を見ると、
もはや政府の景気判断は
意味がなくなってしまった気がします。
戦後最長と言われる景気回復期でも、
個別の指標は数年に渡って
全面的に悪い時期が含まれていたり、
基準年(2015年)を下回る期間が
多数含まれていたりしています。
こうした状況でも
景気回復期になってしまうのですから
「好きにしたらいい」と言いたくなってしまいます。
そう言った意味では、政府の発表などは気にせずに
個別の指標を参考にしたり
自分の感覚で捉えることの方が
大切になってくるのかもしれませんね。。。
それでは、また次回、宜しくお願い致します。