諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「米中貿易戦争」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!




米中貿易戦争が本格化! 今後の行方は? 《前篇》

米中貿易戦争が本格化してきたようです。
トランプ大統領が就任した当初は
「米中は比較的友好的な関係を築く」
という見方が多かったはずですが、
今ではお互い退くことができない状況に
なりつつあるようです。
一体どのような状況なのか、
今後どうなるのか、まとめてみます。

●一体何が起きているのか?

米中の貿易戦争が本格化しているようです。
2018年6月18日、
米国のドナルド・トランプ大統領が
中国の知的財産侵害の制裁として、
「中国からの輸入品、自動車や情報技術製品、
ロボットなど1,102品目に対し25%の関税を課す
(500億ドル相当)」と発表すると、
同日に中国商務省が同等の関税で報復すると発表しました。

これだけでは終わらず、
7月6日に予定通り米国が一部の関税措置を発行すると、
中国も報復関税を実施。

すると7月10日、トランプ大統領は、
「中国からの衣料品や食料品など6,031品目に対し
2,000億ドル相当に追加関税を検討する」と発表。
さらに、トランプ大統領は20日に放映された
米経済専門局CNBCとのインタビューで、
米国に輸入される中国製品5,000億ドル
(約56兆2,000億円相当)に追加関税をかける
「用意がある」と発言。
(中国製品5,000億ドルは、米国が2017年に輸入した中国製品のほぼ総額)

当然、中国も黙っておらず中国当局が
「米国側のいかなる追加行動に対しても
報復措置をとる」と表明。

また、「欧米には、左の頬を打たれたら
右の頬を差し出すという考え方があるが、
我々の文化では殴り返す」
と習近平国家主席が語ったと報じられています。

このように両者ともに全く退く気配はなく、
さらにエスカレートしていく様相を呈しています。

●どうしてこうなった?

そもそも、どうしてこうなったのでしょうか。
トランプ大統領が就任した当時は、
習近平国家主席がわざわざ米国まで
出向いて行き、良好な関係を打ち出していたはずですが・・・

どうやら、トランプ大統領の
基本的な方針や考え方に理由がありそうです。

トランプ氏は、大統領選の選挙期間中に、
各国との貿易不均衡を問題として取り上げていました。
中でも突出して大きいのが中国で、
3,750億ドルに上る対米貿易黒字を問題視し、
米国製品をもっと輸入するか、
米国への輸出を減らすなどをするべきだと
主張してきていたわけです。

ここで思い返すのが1980~90年代の日米貿易摩擦です。
当時の日本は、高度成長期で
日本車等の対米輸出が急激に伸び、社会問題化しました。
「GM」「フォード」「クライスラー」といった
米国を象徴する自動車企業が
日本車の影響を受け大規模なリストラをし、
米国の失業率は一時10%に迫る状況でした。

全米各地でデモが起こり、
自動車をハンマーで叩きつぶす映像が報道され、
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という書籍が
ベストセラーになるなど、
米国民の間でも関心が高まり、
「ずるい日本」という世論が形成されていきます。
※当時のハリウッド映画は、
日本や日本人を皮肉った描写が数多くあります。
そうしたことからも米国民の当時の世論が推察できるでしょう。

そうした中、米国政府は日本側への
「貿易均衡の是正」「市場開放」「輸入拡大」を強く迫り、
「ジャパン・バッシング」という
経済面・政治面で不当に攻撃することになります。

結局、米国から日本への「貿易均衡の是正」
という要求は80年代末に和らぐものの
バブル崩壊まで続きました。

日本側は対応に追われ、日米構造協議が実施され、
「年次改革要望書」が出されるようになり、
粛々と米国側の要求に対応してきたという経緯があります。

いまの中国は、トランプ大統領にとって
当時の日本のように映っている
という見方も少なくないようです。

話を戻しますが、貿易不均衡を
主張していたトランプ氏は、
大統領就任後に実現に向けて早速動き出します。

習近平国家主席が訪米して行われた米中首脳会談では、
貿易不均衡問題を解決するために
「米中包括経済対話メカニズム」
の立ち上げを合意させ、
米国の対中輸出を増やすための
「100日計画策定」が取り決められました。

ですが、2017年7月に行われた閣僚級会議で
米中包括経済対話メカニズムの交渉は進展せずに頓挫。

そこで、翌月にトランプ政権は、
中国の不正な貿易慣行がないか
アメリカ通商法スーパー301条に基づく
調査を始める検討に入りました。

この通商法スーパー301条は、
まさにジャパン・バッシングの際に使われた戦略で、
日本の衛星・スパコン・林産物(紙など含む)
などが対象となり、改善のための協議が要求され、
改善されなければ制裁されるというものです。
※ちなみに、通商法301条による調査は、
オバマ政権下でも中国の風力・太陽号発電などの
グリーン技術製品に対して実施した経緯もあります。

実際のところ、中国側には不正な貿易慣行は山ほどあります。
今回の米国の大義名分でもある
知的財侵害をはじめとして、合弁・合作企業法、
為替操作、データセンターの国内設置義務など、
探せばいくらでも問題にできる状況でしょう。
つまり、2017年8月の段階で米国は、
中国に対して規制対象を
続々と追加していく体制を整えていたわけです。

●いま、どんな情勢なのか?

現在の情勢としては、
中国側がかなり不利な状況にあるようです。

米国側は矢継ぎ早に
追加関税対象を発表していますが、
中国側は手持ちのカードが
少なくなってきているようです。

そもそも、両国の貿易額を比べて見ると、
米国が中国から輸入している総額が5056億ドルで、
中国が米国から輸入している総額が1539億ドルと
米国が3倍以上多い状況にあります。

つまり、関税をかける対象金額・品目が
その分多いため、米国が圧倒的に有利なわけです。

また、それぞれが輸入している品目にも差があります。
米国が輸入している品目は、
半導体・自動車・産業ロボットなど
ハイテク製品や加工品が多いため代替が効きやすく、
他国から輸入すれば良いものが多いのです。

特に、半導体製品とされるものは、
iPhoneなど携帯電話関連製品が大半を占め、
中国で組み立てたものを
米国に輸入している結果が
数字として表れているわけです。

つまり、これらに米国が関税をかけるということは、
メーカー企業から見れば携帯電話などの組立を
中国以外の国に変えるタイミングになるわけです。

中国はハイテク産業の育成に力を入れている最中ですから、
痛いところを突かれたと思っているはずです。

一方の中国側は、大豆・水産品・食肉などの原材料が多く、
その規模が大きいため代替が効きにくい状況にあります。

例えば、大豆を見てみると、中国が輸入している相手国は
ブラジルが約3700万トン、次いで米国が約3100万トン、
続いてアルゼンチンが約780万トンという状況で、
米国からの輸入が制限されると、
これだけの分量を生産する相手国が見つからないわけです。

ですから、中国で関税がかけられても
中国国民や企業はしぶしぶ買うしかない状況に
陥ってしまいます。

もちろん中国側の関税の影響で、
米国からの大豆輸出量が減少し、
米国農家への打撃が少なからず予想されますが、
そうなれば別の作物に切替えるなどで
対応していくのではないでしょうか。

いずれにしても、米国はかなり強気に
追加制裁をチラつかせている状況で、
中国側が後手に回っている
というのが現在の情勢です。

もちろん中国側にも状況を打開する対抗策が
ないわけではないのですが、
そのあたりの今後の展望は次回にご紹介します。