少し遅めですが、ご容赦ください。。。
あけましておめでとうございます!諜報部長!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。
本年も何卒宜しくお願い致します。

2017年も始まったばかりということで、
この時期は各種書類や契約書の日付を2016年とか、平成28年と書きがちですよね。
まあ、毎年のことなのですが、年数に慣れるのは少し時間がかかりますよね。

さて、今回からは新しく「2016年多かった税務調査の問合せ
というテーマで報告をしていきます。

昨年も通常の税理士紹介希望だけでなく、
税務調査局面でのお問合せを多数頂きました。
毎年、税務調査対象となる人の傾向はある程度存在します。
そういった全国的な傾向とは異なるかもしれませんが、
弊社に頂いたお問合せの中で、昨年多かったものについて、お話をしていきます。

2016年多かった税務調査のお問合せ

■2016年多かった税務調査の問合せ~①消費税逃れ

2017年に入り、ここから確定申告終了までは、
新規の税務調査等の連絡は比較的落ち着く時期かと思われます。

ここで、昨年(2016年)に弊社に頂いた税務調査関連のお問合せの中で、
数が多かったものについてお話をしていきたいと思います。

一つ、前提としてご理解頂きたいのが、以前にも税務調査に関する投稿で記載しましたが(下記参照)、
税務調査局面で弊社にお問合せを頂く方は、税理士さんと関与していない人たちが殆どです。

※参照リンク
 税務調査・追徴課税の怖さ④-どんな状況の人が対象になるの?
 https://www.y-chohobu.com/archives/1092

自己判断で進めてしまったり、危ないことは認識しつつも指摘されないから
何年も繰り返してしまったりといった状況の方たちが多いです。
明らかな誤りや税務上のリスクが存在することは、税理士さんと関与していれば、
まず税理士さんがお気づきになりますし、指摘を受ける事項ですので、
このような状況に陥ってしまうという背景にある、前提をまずはご理解頂ければと思います。

●「消費税逃れ」とは?

昨年多かった税務調査関連のお問合せ内容ですが、
まずは、「消費税逃れ」の指摘を受けた個人事業者の方です。

消費税に関しては、以前にも別記事で報告しましたが、
年間売上1,000万円に到達するまでは、納税義務が免除されることになっています。

※参照リンク
法人を設立するタイミングとは?-②消費税考慮
https://www.y-chohobu.com/archives/1317

これ、小さな事業者にとっては非常に大きい制度です。
支払を免除されるということは、売上には消費税をかけてOKなのに支払義務が無い!
ということですし、消費税は特性上、赤字でも発生しうる税金なので、
小さな事業者の経営にはとっても優しい内容となっております。

ただし、これを悪用する人がいるのも事実です。

「売上1,000万円に到達するまでは免除」ということは、
言い方を変えると「1,000万円未満ならずっと払わなくて良い」ということです。
現在(2017年1月時点)での消費税率は8%ですから、
消費税の免除が続く限りは、実質的には利益率8%UPのようなものです。

つまり、「消費税逃れ」とは、
意図的に売上を1,000万円未満で申告する」ことを指します。

●やってしまう事業主の心情

こういった消費税の免除をずっと享受し続けようとしていた
個人事業者の方たちで、ついに税務署からの指摘を受けた人たちからの
お問合せが昨年は多かったということです。
具体的には、年間で1,000万円を超える売上があったにもかかわらず、
900万円とか、980万円とかで申告を「数年間」してきた人たちです。

大多数の真面目に申告をされている方たちからすると、
「何て悪い奴らだ!」とお思いかもしれませんが、
テレビや映画の題材になるような悪人という人たちではありません。
※でも、悪いことはしていますので、その前提を擁護するつもりはありませんが・・・

こういった方たちは、後ろめたさが無い訳ではなく、
税務署からの連絡があった時点で、どういったことを指摘されるか大体見当がついています。

恐らくですが、1回目の申告は本当に1,000万円届くか届かないか微妙なラインだったのでしょう。
それならばということで、1,000万円未満で確定申告を行ってみて、
申告後も「特に何も連絡が来ないな・・・」ということで、次の年も・・・。
大体このように1,000万円未満の申告を継続している場合が多いです。

●当然、税務署も目を光らせている

ですが、勿論これで見逃されるわけがありません。
日本の納税は自己申告の制度ですから、
税務署に提出した時点で、間違いを指摘されるわけではなく、
その後に税務調査があるわけです。

以前にお話をしたように、税務調査の実調率は非常に低い数字です。
本来は税務署も多くの法人・事業主に対して調査を行いたいはずですが、
時間・人員等、諸々の理由により大きな制限があります。

※参照リンク
税務調査・追徴課税の怖さ③-どんなタイミングで来るの?
https://www.y-chohobu.com/archives/1082

そのため、本来は売上規模の小さい事業者にはあまり税務調査が入らないはずなのです。
税務調査は諸々準備も必要ですし、個人事業者や従業員を雇っていないような企業であれば、
ずっと税務調査に立ち会わなければならないので、事業活動に支障が出かねない
ということを考慮し、調査対象となる優先度はかなり低いはずです。

だからこそ、売上規模の小さい事業者に税務調査が入る場合というのは、
ほぼ間違いなく「クロ」、つまり「何かしらの不正実態がある」という証拠・確信を
税務署が持った状態で調査に来ている
と考えるべきでしょう。

●その後、どうなるか

こういった事業主の場合、当然ですが、無傷では終わりません。
消費税基準を本当に突破しているのであれば、消費税の納税があります。
しかも、税務調査に来るような状況の事業主ですから、
最低でも3年くらいは同様のことをしているでしょう。

次に、1,000万円未満の売上にするために、売上だけ除外して経費を除外していなければ、
所得も変わるので、所得税の追加納税があるでしょう。
上記2つは、対象年度分だけ追加が必要ですので、過去3年分が修正対象なら、
追加納税も過去3年分です。

さらに、追徴課税として、過少申告加算税等のペナルティが課されます。
悪質な場合は、重加算税の対象となるかもしれません。

そして、調査が終了し、所得の増加が確定することによって、
住民税と国民健康保険も増加します。
こちらも、対象が3年分であれば、過去3年分が対象になります。

個人事業主の方で、税務調査で痛い目を見たので、きちんと税理士と契約をすることにした、
という事業者の方からお問合せを頂き、税理士をご紹介したことがありますが、
その時に事業主の方が仰っていた内容は、
「色んな追加納付が多く、一括で納めるのも大変だから、
結局1年くらいはずっと何かしら払っていた・・・」ということです。

同じ状況で、きちんと誤り無く申告されていた方は、
3年間で毎年分けて納めているものを、1年間で一気に納付するということになれば、
当然負担が大きくなります。

●この段階からでも税理士に依頼できる可能性

このような状況のお問合せは、間違いなく税理士さんと関与していない事業主からしか発生しません。
税理士さんがついていれば、明らかにアウトと判断できるでしょうから、
未然に防ぐことが出来ますし、事業主もその過ちを犯さずに済みます。

本来は、こういったことにならないように、税理士さんと日ごろからお付き合いを
しておくのが最良ではありますが、この状況からでも税理士さんに依頼をすることは可能です。

当然、費用が掛かってしまうので、追加で納税が予測される額が少額な人であれば、
ご自身で応対した方が良いと思いますが、
対象額が大きいほど、税務調査の対象年数が過去に遡られるほど、
税理士さんがいるといないでは大きく状況が変わります。

まずは、知り合いの方で信頼できる税理士さんがいるようならその人に相談を。
ただ、直接の知り合いに税理士さんがいない場合は、
知り合いを通して「税務調査に入られているから税理士を紹介してほしい」
とは言えないでしょうから、弊社のような税理士紹介サービスをご検討ください。
※税理士紹介ネットワーク:http://tax-concierge.net/

さて、今回の報告は以上です。
次回も「2016年多かった税務調査の問合せ」ということで、
今回とは別の多かった問合せ内容についてお話をして参ります。

また、次回宜しくお願い致します。