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さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「ソフトバンクグループの決算発表
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

ソフトバンクG大赤字決算発表 秘策はあるのか?

ソフトバンクG大赤字決算発表 秘策はあるのか?

ウィーワーク問題をかかえるソフトバンクGが
過去最大規模の赤字決算を発表しました。

それ自体は大方の予想通りではありましたが、
ソフトバンクGがそれをどう捉え、
そして今後どうするのかに注目が集まっています。

一体どのような発表だったのか、まとめてみます。

●ソフトバンクG 7~9月期7,000億円の赤字

まずは、ニュースからです。

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孫会長「ぼろぼろ、真っ赤っか」…ソフトバンクG15年ぶり赤字

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20191106-OYT1T50262/
2019/11/6 読売新聞

ソフトバンクグループ(SBG)が6日発表した
2019年9月中間連結決算(国際会計基準)は、
本業のもうけを示す営業利益が155億円の赤字
(前年同期は1兆4,207億円の黒字)だった。
「ユニコーン」と呼ばれる有力な新興企業への
投資事業で損失が膨らんだことが響き、
中間期としては15年ぶりの赤字に転落した。

売上高は前年同期とほぼ同じ4兆6,517億円だった。
出資先の中国電子商取引大手アリババ集団に
関連する利益はあったものの、
最終利益は前年同期比49.8%減の4,215億円と、ほぼ半減した。
SBGの孫正義会長兼社長は6日の記者会見で
「決算内容はぼろぼろだ。真っ赤っかの大赤字」と述べた。

営業赤字に転落したのは、SBGが3割を出資して主導する
「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」
の投資先企業の価値が下がり、
5,726億円の損失を計上したことが要因だ。
米シェアオフィス大手「ウィーワーク」
を運営するウィーカンパニーと、
米配車サービスのウーバー・テクノロジーズだけで
計5,379億円の損失を計上した。

7~9月の3か月間でみると、業績の悪化は鮮明だ。
SVFの投資事業に絡む損失額は9,702億円
(前年同期は3,924億円の利益)に上り、
最終利益は7,001億円の赤字
(前年同期は5,264億円の黒字)に転落した。

SBGは日米で携帯電話事業などを手がける一方、
17年に設立したSVFを通して人工知能(AI)分野のIT企業など
88社に投資している。SVFの投資額は10兆円規模に上り、
投資先には有力なユニコーン企業が多く、
その動向は世界で注目されている。

こうした投資先については、十分な収益を上げられずに
企業価値が下がった場合には、実際にお金が流出しなくても
損失を計上しなければならない。
今回、投資事業が赤字となったのはこのためで、
18年9月中間連結決算では6,324億円の利益を確保していた。

孫氏は投資事業について「私自身の投資の判断が
色々な意味でまずかったと、大いに反省している」と述べる一方、
「萎縮はしない。信念は微動だにせず、
今後も投資を続けていく」と語った。
携帯電話大手ソフトバンクや、米スプリントは黒字を確保し、
おおむね堅調だった。

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ソフトバンクグループ株式会社(SBG)の孫社長は
11月6日の決算説明会で冒頭次のように切り出しました。

「今回の決算の発表内容、ボロボロでございます。
真っ赤っ赤の大赤字でございまして、
3ヶ月の、四半期の決算でこれだけの赤字を出したのは
創業以来のことではないかと思います。」

事実、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は大赤字、
その柱であるウーバーも上場以来株価は下がりっぱなし、
ウィーワークはIPO断念で資金難から
すぐにでも倒産する可能性すらある状況で、
さらに1兆円の追加出資等を行うと発表。

これはもうどうしょうもない泥沼に
手を突っ込むような自殺行為であるとの声も多く、
「SBGは倒産する」と評する専門家も現れる始末。

こうした状況に対して孫社長はどう釈明をして、
どういう挽回策を打ってくるのでしょうか。

●SBGは株主価値の向上を目指す

冒頭の記事にあるようにSBGの営業利益は、
18年上期に1.4兆円の黒字だったものが、
19年上期は156億円の赤字に転落してしまいました。

また、SVFの投資事業に絡む損失額は
ウィーワークの影響で7~9月の3か月間で9,702億円に上り、
最終利益は7,001億円の赤字という状況です。

孫社長は、決算説明会で
「(こうした状況に)非常に反省している」と言及しましたが、
「一方で2つの事実がございます」として反転攻勢にでました。

その2つの事実とは、7~9月の3ヶ月で「株主価値1.4兆円増」
「SVF1累計投資成果1.2兆円増」ということのようです。

「株主価値1.4兆円増」とは、次の図のようなものです。

SBG 株主価値1.4兆円増

前回発表時点から保有株式・純負債ともに増加した結果、
株主価値22.4兆円(前回発表時点20.9兆円)から
1.4兆円増えているというわけです。

ちなみに、保有株式の増加の理由は、
アリババG株の約2兆円増えたことにあります。

SBGは、投資会社として生まれ変わったときから
「株主価値」の向上を目指して経営をしている
と孫社長は言います。

つまり、会計上の損益などではなく、
株主価値が向上している今は
問題もなく順調に上手くいっているというわけです。

また、「SVF1累計投資成果1.2兆円増」についても同様です。
SVFが約90社に投資を行った結果、
投資利益が1.2兆円になったと説明。

SVF1累計投資成果1.2兆円増

価値を増大させたのが90社のうちの37社、
減少させたのが22社で、
差引1.2兆円の利益を生んだといいます。

孫社長の言葉を借りれば、
「金額で言えば3勝1敗、社数で言えば3勝2敗」
で上手くいっていると言うのです。

この結果は、世界の約5,000社あるという
ベンチャーキャピタルの平均的な年間評価益は
約13%と言われていますが、
SVFはその倍近い結果であると言います。

つまり、ウィーワークやウーバーなどの結果も
すべて含めて優れた実績を出しているのに
「どうしてこれだけボロボロに
言われてなきゃいけないんだろう」
というのが孫社長のホンネのようです。

このように、SBGのいう株主価値は過去最大となっており、
SVFもしっかり利益を出している、
孫社長の言葉を借りれば
「大勢に異常なし」ということのようです。

●本当に問題ないのか?

孫社長は問題なく順風満帆と言いたげですが、
ウィーワーク問題によって明るみになった懸念は
解消されていません。

それは、
「SBGが評価する企業価値・株主価値は適正なのか?」
ということです。

ウィーワーク問題では、約5兆円の評価額が、
IPO断念で約5,000億円とも
言われている状況になってしまいました。

そもそも未上場株は実質的に言い値で
取引されることになりますので、
意図的に評価を高めれば吊り上げることができるのです。

まさにウィーワーク問題は、SBGがウィーワークを
過剰に高く評価をしていた証拠であって、
その評価方法が適正だったのかに疑義が出ているわけです。

今回の決算説明会でも、評価方法は国際基準に準拠して
適正だと説明されていましたが、
同じ手法でウィーワークも評価されていたのです。

つまり、未上場株評価の疑念は
全く払しょくできていないのです。

とは言え、SBGの保有株式の多くは上場株ですから、
それらが順調である限りSBG自体に
問題はないとは思いますが・・・。

以上、いかがでしたでしょうか。

SBGは、大幅な赤字決算となったわけですが、
孫社長はそんなことは意にも介さず
株主価値はしっかり向上しており、
順風満帆であるということのようです。

確かに孫社長の言う通りでしょうが、
多くの人が気にしているのは、
ウィーワーク問題によって明らかになった
未上場株の評価の信憑性です。

今後、ソフトバンクGが棄損した信頼を
どのように取り戻していくのか、
これからの動向に注目ですね。