こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

さて、今回からのテーマは、
「顧問税理士を変更するとき」
ということでお話をして
いきたいと思います。

事業者が税理士に依頼をした場合、
基本的には頻繁に変更することを
前提に依頼することはまずありません。
概ね、その税理士さんに毎年毎年
継続的にお願いし続けるのが普通ですし、
税理士側も一般個人の方ではなく
「事業者」という括りであれば、
個人事業主でも法人でも、
継続的にお付き合いする前提で考えています。

ただし、残念ながら良好な関係が
継続している所だけではないのも事実です。
本来はどちらかが廃業するまで
お付き合いするというのが理想だと思いますが、

  • 相性があわない
  • 担当者に対する不満
  • 税理士事務所のミスが多い
  • 突然の値上げ

等々により、顧問税理士を変更したい
と考える事業者が存在するのも事実です。

税理士とは継続的に関与した方が良いと、
個人的にも考えているのですが、
「顧問税理士を変更する」と
本気でお考えのようでしたら、
今回の内容を是非参考にして頂ければ幸いです。

顧問税理士を変更するとき-①知っておいた方がいいこと

■顧問税理士を変更するとき-①知っておいた方がいいこと

前段で触れた通り、個人的には、
税理士とは継続的に関与した方が
良いと思っていますので、
むやみやたらな変更はあまり推奨致しません。

理由としては、継続的に関与した方が、
税理士からのサービス提供の質が良くなるからです。
関与して1期目というのは、
税理士としても、事業者の状況を
探り探りは把握しようとしています。
更に、税理士と事業者の関係も
付き合ったばかりですので、
人間関係的にも同様だと思います。

ですが、2年・3年と継続的に
付き合いを重ねていくことによって、
税理士側にも事業者の情報や状況が
蓄積されていきますし、
数年間無事に付き合いが出来る状態なら、
人間関係としても当初より出来上がっています。

この状態が継続されていくと、
事業者が事前に相談する前に
税理士側から必要な情報提供や
注意喚起がなされたり、
新規の関与先にはお話できない
サービス提案があったり、
というような、より深いサービス提供が
事業者に対して行われるようになってきます。

どんな店でも、一見さんと常連さんでは
多少のサービスが異なるのと
同じような状況とお考え頂ければ、
お分かり頂けるのではないでしょうか。

ただし、このような関係性は、
お互いに良好な人間関係があってのものです。

双方の場合は言うまでもなく、
片方が信頼していない、不満がある、
という状態でどれだけ付き合いの年数を重ねても、
はっきり言って意味はありません。

最悪の場合は、初年度の顧問先よりも、
提供されるサービス品質が低いことすらあります。

こんな状況では継続していても意味はないですから、
思い切って、顧問税理士を変更するのも
一つの手立てではあると思います。

ですが、変更するといっても、
税理士の変更となると、
弁当の注文先を変更するとか、
事務用品の購入先を変更するような、
気軽な話ではありません。

実際に変更するに当たっては、
少なくとも理解しておかなくては
ならない点があります。

●顧問税理士との契約解除の際の注意点

それでは、税理士変更の際に、
事業者側が理解しておかなくてはならない点、
知っておいた方がいいことを
まとめていきたいと思います。

新しい事務所(変更希望の税理士)に対しては、
現在の顧問税理士への不満を解消できる所を
選ぶでしょうから、そこにはあまり言及せず、
現在の顧問税理士との契約解除について、
話をしていきたいと思います。

【契約書・契約内容は確認する】

昔ながらの税理士事務所さんや、
長い年数契約している場合は、
税理士との顧問契約書を締結していない場合も
珍しくはありませんが、
最近では顧問契約締結時に
何かしらの契約書を結ぶ事務所の方が
多くなっていると思います。
そして、契約書がある場合に関しては、
しっかり契約書の内容を確認しましょう。

「税理士の変更」=「既存税理士の解除」

ですから、契約解除に関する内容を確認し、
解除に当たっての障害となるようなことがないか、
把握しておくことが重要です。

ただ、「障害」と言っても、
税理士と事業者の契約は通常は2者間の
シンプルな契約ですから、
事業者側に報酬の未払い等が無ければ、
概ね契約解除希望の1ヶ月前告知で
問題無いケースが多いです。

逆に、未払い報酬等が存在する場合は、
それが解決しない限り、既存事務所との
契約解除は上手くいかないでしょうし、
新しい税理士からも契約は敬遠されると思います。

※面談・契約時に黙っていたとしても、
 決算書、通帳、出納帳等の資金の流れで、
 新しい事務所に旧事務所への未払いはバレます。

【既払い分は返金されない】

個人事業主でも法人でも、年度が決まっています。
個人は「1月~12月」、
法人は自由設定ですが「各期初月~決算月」
と1年の稼働期間が決まっています。

この場合、税理士の変更を希望する時期が、
「期初」、つまり各年度の始まりであれば、
問題は無いと思いますが、
諸々の事情で早急に変更したいという場合は、
「期中」、つまり事業年度の途中での動きが
あるかもしれません。

個人なら半年経過した6月頃とか、
法人でも決算まで残り○ヶ月の時点、
といったケースです。

この場合に、注意頂きたいのが、
既存の税理士との契約を解除したとき、
今期中に支払を済ませてしまった分は、
返金にはならないという点です。

通常、税理士との契約は「年度単位」となっています。
それを、年度の途中で変更(契約解除)を
依頼者側の事情で申し出るわけですから、
当然と言えば、当然とご理解頂けると思います。

そして、その後、新しい税理士(変更先)に
依頼したとしても、その年度の費用に関しては、
期中ということで多少の割引は考慮してもらえるたり、
過去分顧問料までは発生しないと思いますが、
決算等に関しては結局1年分丸ごと
チェック・作業しなければならない為、
1年分の費用が丸々掛かる部分もあります。

ですので、期中の変更に関しては、
あくまで自社(事業者)都合になる為、
既存の税理士と新しい税理士に対して、
支払分が重複してしまう可能性があるということを、
ご理解頂いた方が宜しいかと思います。

こういった点を避けたい場合は、
年度の区切りで依頼先を変更すべき、
つまり、「新しい税理士は新年度から依頼」
ということで進めるべきだと思います。

【契約解除は自分で伝える】

1回だけしか会ったことが無いとか、
不満が募っての税理士変更希望であれば、
特に抵抗はないと思いますが、
どんなに長年付き合っていた人であっても、
税理士に対しての契約解除に関する話は、
依頼者(事業者)本人が税理士に
伝えなくてはなりません。

仮に新しい事務所が決まっていて、そこにお願いする、
ということが決まっていたとしても、
新しい税理士さんから旧事務所に伝えることはできません。

税理士との契約はあくまで2者間の契約なので、
依頼者本人が伝えなくてはなりません。
どうしても自分で言いたくない!という場合は、
弁護士等に依頼して間に入ってもらう事も出来ますが、
そこまで費用をかけなくても、
そこまで事を荒立てかねないことをしなくても、
ご自身が言いづらくても伝えれば済む話です。

直接伝えるのは言いづらい・ばつが悪い、
という気持ちがあるかもしれませんが、
これをご自身で出来ないようでしたら、
税理士の変更に対してのお考えが
そのくらいの重要度ということなので、
恐らく変更は難しいと思います。

【断った税理士には戻れない】

通常のサービス同様、その人に依頼するかどうかを
最終的に判断するのは、例え税理士への依頼であっても、
お金を払う依頼者(事業者)です。
そして、依頼を決定するのが事業者である以上、
断ることも事業者が行う事が出来ます。
ここまでは、通常のサービスと同じだと思います。

ですが、少し異なるのが、
再度同じ税理士に依頼する場合です。

例えば携帯電話であれば、
元々ドコモを利用していて、ソフトバンクに切り替えて、
再度ドコモに切り替える、
ということも可能だと思います。

ですが、税理士に関しては、
一度契約をして、解除して、再度同じ所に戻る、
これはかなり難しいです。

何かしらの事情があって、円満に解除した場合や、
「自分でやってみます」ということで契約を解除し、
やっぱり無理だった・・・ということで再度依頼、
というようなことであればまだしも、
自分から契約を解除して、他の事務所に依頼した後、
「やっぱり前の事務所がいい!」ということで、
再度以前の事務所へ依頼というのは、まず出来ません。

※ちなみに、断るときに「自分でやってみます」と伝えても、
 途中で別の税理士に依頼していれば、
 それは間違いなくバレてしまいます。
 理由は簡単で、申告書に前の税理士の情報が
 残っているからです。

厳密に言うと、出来ないというより、
以前の税理士が断る、という方が正しいと思います。

前段で説明した通り、税理士というのは
継続的に関与することを前提として
サービス提供を行い、関係性の構築を重視します。
そのような考えがある中で、
特別な事情が無い限り、一度相手から契約解除を
申し出られた依頼者と信頼関係が構築できるか?
ということが難しいと考えるからです。

ですので、現在の税理士を解除する場合は、

「この事務所には二度と依頼出来ない」

ということをご理解頂いた上で
契約解除、税理士変更に動いて頂くべきだと思います。

●まとめ

さて、諸々お話しましたが、
顧問税理士の変更を行うとき、
新しく依頼する税理士の選定だけでなく、
既存の税理士との契約の解除について
考えなくてはなりませんが、
その注意点をまとめると、

  • 既存税理士との契約内容を確認
  • 既払い分は返金されないので、期中での変更は
    新事務所分と税理士報酬が重複する可能性
  • 契約解除は依頼者本人(事業者)が直接伝える
  • 契約解除した事務所への再度の依頼は困難

こういったところになります。
ただ、こういった注意点を考慮しても、
既存の顧問税理士への不満が強い、
別の税理士と付き合いたい、
ということであれば、
早急に税理士事務所の変更に向けて
動いて頂いた方が宜しいと思います。

顧問税理士を変更するとき-①知っておいた方がいいこと

さて、今回の報告は以上です。
次回も同じテーマ、
「顧問税理士を変更するとき」
で報告したいと思います。

上記で申し上げました通り、
顧問税理士の変更にあたって、
旧事務所に対しての動きは
事業者側で動かなくてはなりません。

その際、新規の変更先事務所が
既に当てがある状態でしたら
問題ありませんが、

  • まだ変更先が決まっていない
  • 知人の紹介に頼ることが出来ない

等の理由で、変更先の税理士事務所が
決定していない場合は、
是非こちらにご相談ください。

税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/

また、次回宜しくお願い致します。