諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「自民党総裁選」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

■自民党総裁選!石破ビジョンとは?

いよいよ自民党総裁選が告示されました。
今回の総裁選では、3選を狙う安倍総理と
石破茂・元自民党幹事長の一騎打ちとなりますが、
石破氏が公約として掲げる
「石破ビジョン」に注目が集まっているようです。

では、内容はどのようなものなのでしょうか?まとめてみます。

●石破ビジョンとは?

「石破ビジョン」とは、
石破氏が総裁選に併せて打ち出した政策のことです。

石破氏は、防衛大臣、農水大臣、
地方創生担当大臣、自民党政調会長、
幹事長などを歴任し、
政策通として知られています。

そうした意味からも
注目を集めている「日本創生戦略―石破ビジョン」。

具体的に見てみましょう。

●石破ビジョンの5つの柱

出馬表明した8月10日の記者会見では、
石破氏は次のように述べています。

「わが日本国が直面する大きな課題に
対応していくためには、
日本の設計図を書き換えて
いかなければいけないからであります。
未来は過去の延長線上にはありません。
過去の遺産にすがり、
そして次の時代に
負担を先送りするような、
そういうような政治であってはなりません。」

つまり、「これまでの方向性を
根本から見直し、過去の遺産を清算する」
ということのようです。

そのような大転換をするために、
「正直で公正、そして謙虚で丁寧」
に進めていく必要があると述べています。

では、その具体的なビジョンとは
どのようなものでしょうか。

大きく5つの柱が設けられています。

①ポストアベノミクスへの展開

マクロ経済政策を継続しつつも、
格差是正・地方創生・技術革新・人材強化などに
重点をおき、成長戦略を見直す。

財政規律に配慮し、
機動性確保のため
経済金融総合対応会議
(日本版NEC)を創設する。

※経済金融総合対応会議とは、
世界的な経済情勢を把握しリスク要因を監視し、
機動的に対策を検討するための会議体とのこと。
総理直轄の会議体で経済の専門家で構成される。
(国家安全保障会議の経済版と理解すれば良いらしい)

②個性と自立性を発揮し地方で成長と豊かさを実感できる真の地方創生の実現

格差が広がっている状況を是正する必要がある。

個人間・地域間での格差を是正するために、
脱炭素化・再生可能エネルギーを原動力とし、
地方創生を実現する。
また、付加価値の高い農林水産業の実現、
補助金・交付金制度の見直し、
規制緩和・制度改革、
地方のスマートシティー化、
インバウンド強化などを進める。

③より人を幸福にする福祉社会の実現

時速可能な社会保障制度を確立するべく、
受給開始年齢を選択できる年金制度改革、
診療報酬の充実・拡充、
本人意思を尊重した終末期医療の再構築、
在宅介護などを推進する。

④人生100年時代の新たな社会の創生

挑戦と失敗を許容する社会の実現、
教育機会均等の確保と質の向上、
男女フェアな社会の実現、
多様性豊かな共生社会、
児童虐待撲滅、循環型住宅政策など。

⑤自立精神に富み安心・安全な国の構築

「防災立国」で国民の生命・財産を守る、
国際情勢の変化に対応した外交・安全保障の確立など。

以上は、各項目を要約したものですので、
詳細は石破氏の公式ホームページでご確認ください。

※日本創生戦略-石破ビジョン-パンフレット
http://www.ishiba.com/sousaisen/wp-content/uploads/2018/08/ishiba_vision.pdf

●根本にあるのは「地方創生」

全般的に俯瞰してみると、
「ビジョン」という題目なので
看板に偽りはないのですが、
具体性に乏しく理想像を掲げているだけのように見えます。

政策通と言われている石破氏だけに
残念ではありますが、みんなで議論をして
決定していくことを信条としているため、
あえてビジョンのみにしたのかもしれません。

石破ビジョンは、
日本創生戦略とされている通り、
地方を中心に日本を変えていこう
という理念が中心にあるようです。

第二次安倍改造内閣で、
地方創生担当大臣のポストが
新設されて石破氏が任命されました。
この背景として、
石破氏を入閣させたかった安倍総理は、
当時注目を集めた新設ポスト
「安全保障法制担当大臣」
を打診しましたが、
石破氏はこれを断り別のポスト
「地方創生担当大臣」を
新設させた(?)経緯があります。

それだけ地方創生に思い入れがあり、
今回の石破ビジョンの中心にあるようです。

●地方創生の理念は「里山資本主義」?

地方創生の基本的な考え方は
どのようなものでしょうか。

基本的な考え方としては、
人口減少と地方経済の縮小を克服するために、
各地方それぞれが
「まち・ひと・しごとの創生と
好循環の確立」することにあります。

そのために、地方に安定した雇用を創り、
地方へ人の流れを創り、
地方で結婚・出産・子育てして
生活してもらうという方策です。

つまり、「都心に集中した人口を
地方へ分散させる」政策というわけです。

一部には「文化大革命」
と揶揄されることもありますが、
地方で「スローライフ・ロハスな暮らし」
をしようと言えば印象が変わるかもしれません。

現政権では、テレビ局と提携してプロモーションにも力を入れていたようです。

※参考)今こそ!地方創生―政府広報
https://www.gov-online.go.jp/cam/chihou_sousei/event/tv/index.html

数年前には地方創生関連の出版が相次ぎ、
ちょっとしたブームもあったようで、
その火付け役となったのが
「新書大賞2014」を受賞した
「里山資本主義」のようです。
※奇しくも石破氏が地方創生担当大臣に就任した時と同時期です。

この「里山資本主義」とは、
エコノミストの藻谷浩介氏が上梓した新書で、
代々先祖が営んできた里山で
自然と共に生活することで、
水や食料、燃料だけでなく
人間関係や地域資源などの
お金に換算できない資本がある
という考え方を説いています。

里山にある資源を生かして、
過疎の進む田舎で豊かな生活を
実現しようと提案し、
廃材をバイオマス資源として利用する街づくりで、
新たな雇用や所得が生まれた
岡山県真庭市の取り組みなど
各地の成功例を紹介しています。

石破氏は、この著者である藻谷氏と親交があり、
藻谷氏の著書に解説を書くほどです。

一部の週刊誌では、
石破氏は藻谷氏の信奉者とまで
言われていました。

いずれにしても、
この里山資本主義の考え方は、
石破氏が立ち上げた「地方創生戦略」、
そして今回の「石破ビジョン」に
大きな影響を与えたのは間違いないでしょう。

※補足
藻谷氏は、著書「デフレの正体」で
安倍政権の経済政策を批判し、
一時期テレビなどにも
頻繁に出演していましたので、
ご存じの方も多いと思います。

当時の藻谷氏の主張は、
「金融緩和で1ドル=100円まで
円安誘導すれば経常収支赤字国になり、
新規国債の消化に支障が出て金利が上昇。
それにより、ハイパーインフレや
金融セクターの崩壊を招く恐れがある」
というものでした。

その結果どうであったかは
言わずもがなですが、
その後に新著「里山資本主義」を上梓。

近年は、地方創生の第一人者として
注目を集めているようです。

●実は大きな転換点かもしれない

石破ビジョンの各メディアの伝え方を見ると、
反安倍メディアは「石破ビジョンが高評価」とし、
親安倍メディアは「石破ビジョンが冷ややかな視線」
とポジショントークを展開し、
既に政争の具になっているようです。

確かに、石破ビジョンの中身を見ても
現政権のものと大差が感じられず、
特に目新しさもない感がありますが、
その実は大きな差がある気がします。

それは、地方創生に対する力の入れ方です。

現政権でも石破氏が立ち上げた
地方創生への取り組みは行っていますし、
今後も継続していくと表明しています。
ですが、それはあくまでも
経済成長の様々な施策の中の一つにすぎないわけです。

一方、石破氏はそうではありません。
「経済成長は地方創生にあり」
とまで言い切っていますから、
経済政策の中心に地方創生が
据えられることになるわけです。

そういった意味では、
今度の総裁選の結果次第では、
我が国の大きな転換点になるのかもしれません。

最後に参考までに安倍総理の総裁選公約を掲載しておきます。

参考)責任、実行。平成のその先の時代へーパンフレット
https://www.s-abe.or.jp/wp-content/uploads/180828_5ketsui.pdf

それでは、また次回宜しくお願い致します。