諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは
前回に引き続き「TPP11」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!




TPP11が衆議院通過 TPP11の内容をチェック<後篇>

前回に引き続きTPP11の内容について
まとめてみたいと思います。
TPP11の経済効果はどのようなものなのか、
なぜ日本はこれだけ急いでいるのか、
チェックしてみてください。

●TPP11の経済効果は?

TPP11では、農作物や工業製品などの
輸出入の関税を引き下げ、
知的財産権や投資ルールなどが
統一されることになります。

これにより、消費者は安く輸入品を購入買える様になり、
企業は海外投資がしやすくなると期待されています。

政府の試算によると、その経済効果は、
実質GDPの約1.5%と見込まれ、
2016年度のGDP水準で換算すると約8兆円に相当。
また、労働供給(≒働きたい人)は
約0.7%(約46万人)増加する
と見込まれるとしています。

出典:日EU/EPA等の経済効果分析について

なぜこのような経済効果を生むのかは、こういう考えのようです。

  1. 関税の変化で、価格や貿易量に変化が生じ、国内企業や個人の行動が変化する。
  2. 輸入が拡大することにより、貿易開放度が上昇し、生産性が向上する。
  3. その結果、実質賃金が上昇し、労働供給が増加。
  4. それが実質所得増加につながり、貯蓄や投資が増え、投資の一部が供給能力を増加させる。

・・・という経済成長メカニズムがあるというわけです。

一方で、この試算については、
TPP11の全て発効後が前提となっており、
「10年以上後の効果が分かるものか」
「机上の空論」などとの批判も多いようです。

また、マイナスの効果もあると懸念されており、
安い輸入品のために競争力を失った
国内商品の売上が減少したり、
国内投資や雇用が減る可能性も指摘されています。
(政府試算では、農林水産業の減少額は、900~1,500億円とされ、
牛肉・豚肉・乳製品、建材などに打撃があるとしています)

また、アメリカが入らなかったことで
自由化の効果は縮小することになりました。
特に、日本としては、米国不在の影響は大きいようです。

●米国不参加でどう変わった?

一番大きな変化は、全体の規模が小さくなったことでしょう。
アメリカが入れば世界の人口の11%、GDPの37%を占めるはずでした。
アメリカが離脱した結果、人口で6%GDPで13%とかなり縮小しました。

また、経済効果は、アメリカの参加を前提とした
2015年時点の試算13兆6,000億円から
4割減となってしまっています。

TPPの最大のウリは、その規模でしたから
最大国のアメリカがいなくなったことは
大きな痛手なのは間違いありません。

特に、参加する新興諸国は、
アメリカ市場を狙って進めてきた協定でしたから、
「目的を失った」というのが本音かもしれません。

さらに、自由化の内容もやや後退しています。
アメリカが求めていた知的財産権の保護など20項目が
「凍結」扱いとなりました。

また「国有企業に対する優遇措置を禁じるルール」など
4項目についても、新興国などが凍結を主張した結果、
調整がつかずに継続協議となり、今後に課題を残しています。

新興国から見れば、アメリカに併せて
嫌々進めてきた内容でしたから当然の結果でしょう。

また、発効する条件も緩和されました。
もともとは、「GDPで85%を占める6カ国以上が承認すること」
でしたが、今回はGDP比率の条件は外されました。

アメリカの離脱でTPP発効が遅れたのを教訓として、
条件を緩和することで確実に発効できるようにする
という日本側の思惑がありそうです。

では、そうまでして日本はなぜTPP11を急いでいるのでしょうか。

●日本はなぜTPP11発行を急いでいるのか?

TPP11締結の背景には、
日本が各国を説得して回ったから、
まとまったと言われています。

普通に考えれば、
アメリカが抜けて経済効果が大幅に低下する中で、
国内批判の高いTPPを急ぐ理由はありません。

他の参加国についても、
巨大市場アメリカの位置付けは
大きかったはずですから、
進める意義も薄れたのは間違いないでしょう。

では、日本はなぜこれほど急いでいるのでしょうか?

最大の理由は、アメリカがTPP離脱を決め、
二国間の自由貿易協定(FTA)に舵を切ったことです。

トランプ大統領は、今回のアジア歴訪中に行った演説で、
インド・太平洋地域の国々と
2国間の貿易協定の締結をめざす考えを強調しました。

日本に対してもFTAを求めてくる圧力が高まってきており、
国防をアメリカに依存している日本としては
2国間交渉だと不利なわけです。

そのため、早くTPP協定を多国間で結んでおけば
「TPP以上の譲歩はできない」
とアメリカの要求を拒否する理由にしたいとようです。

もうひとつの狙いは、
アジアの貿易の自由化に向けて
TPP11の合意をテコにしたいのです。

いまアジアでは、TPPとは別に、
日中韓それにアセアン諸国など16カ国による
RCEP(東アジア地域・包括的経済連携)という
貿易自由化の枠組が検討されています。

GDPの規模で世界全体の30%にもなる巨大経済圏ですが、
中国・インドの影響力が強く、
低いレベルの自由化となる恐れがあります。

日本としては、高いレベルの自由化を求めるTPPを先行させて、
これをテコにしてRCEPのレベルを引き上げたい狙いがあるわけです。

つまり、中国やインドの思惑寄りの
RCEPになってしまう前に、TPPで基準をつくってしまいたい訳です。

※詳しくは、「RCEPの今後 参加国の思惑とは?」をご覧ください。
https://www.y-chohobu.com/archives/2518

このように、日本としてはアメリカがいなくても、
また多少譲歩をしてでも、
早くTPPを締結・発効して、
今後を見通して有利に進められるようにしたい
と考えているのです。

以上、いかがでしたでしょうか。
内容の良し悪しはさておき、
日本がこれだけ国際戦略を考えて動いているのは、
近年稀に見ることではないでしょうか。

一方で、具体的な内容が十分検討できていない点が多く、
ふたを開けてみればマイナスの影響が大きいもの
になってしまう可能性があります。

そうならないためにも、
本来はマスメディアがこうした点をチェックし、
改善の圧力を高めるべきところなのですが、
近年モリカケ問題などの不毛なゴシップネタに終始し、
TPP問題はほとんどメディアで扱われなくなったのは残念なことです。

いずれにしても、確実に大きな影響を及ぼすことになる
TPPですから、今後の動向をしっかりと見守る必要がありますね。

それでは、次回も宜しくお願い致します。