諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回は(今回も?)
「仮想通貨」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

仮想通貨取引所でまた問題発覚! 2200兆円分のビットコインを0円で販売

1月に発生した仮想通貨取引所
「コインチェック」のNEM流出問題ですが、
その話も解決していない状態で、
今度は「Zaif(ザイフ)」で衝撃的な事件が発生したようです。

一体どのような事件なのか、どんな問題があるのか、まとめてみます。

●仮想通貨が0円で売買できる不具合が発生!?

まずは、ニュースからです。
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仮想通貨取引所Zaifでシステムトラブル、0円で売買
https://jp.reuters.com/article/zaif-system-trouble-idJPKCN1G50AT
ロイター 2018年2月21日 13:12

[東京 21日 ロイター]
仮想通貨交換業者のテックビューロ(大阪市)は、
運営する取引所Zaifでシステムに不具合が生じ、
顧客7人が0円で仮想通貨を購入するトラブルが
発生したと発表した。
同社は「顧客6名とは対応を済ませており、
残る1名とは継続対応中」としている。

同社が20日にホームページに掲載した報告によると、
16日の午後5時40分から58分ごろにかけて、
同社のサービスである「簡単売買」において
0円で仮想通貨の売買ができる状態が発生した。

0円でなされた取引については、
その後、訂正扱いとし、
顧客の残高データについても
修正を行ったとしている。
同社は、不具合については修正を実施し、
以降、システムは正常に稼動していると説明している。

詳細について同社の広報担当者からはコメントは得られていない。

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このニュースで伝えられているトラブルは、
仮想通貨取引所のザイフで
ビットコインを含む仮想通貨が
0円で売買できる不具合が発生したというもの。

実は、この事件がニュースになる数日前から
ネットでは注目を集めていました。
それは、事件発生直後に
実際にザイフでビットコインを0円で
購入した人の1人麺屋銀次(メンメン)さんが
YouTubeに証拠となる動画をアップしていたためでした。

参考)俺の仮想通貨時価総額2246兆になった
https://www.youtube.com/watch?v=RaK-MskFKsw&t

そのメンメンさんはその動画内で、次のようなことを述べています。

  • ザイフの簡単決済でビットコインとモナコインが0円で売買できるようになっていた。
  • バグだと思ったがトラブルシューティング的に21億BTC買ってみた。
  • その結果、実際に購入出来て時価総額が2246兆円になった。
  • そのため、ザイフに無料でビットコインが買える状態であることをメールで報告した。
  • だが、ザイフからは返答がなかったため、なんらかの犯罪に巻き込まれたのか、揉消されるのか不安になり動画として証拠を残そうとした。

この動画が公開された当初は
かなり疑っている人も多かったのですが、
その後メンメンさんが20億BTCを
売りに出したことで本当であることが
確認され一気に拡散されました。

補足)メンメンさんが売りに出した理由は、
あくまで実際に使えるか確認するためで、
売却目的でなかったと証言しています。
事実実際に売却はされていない模様。

その後、事件発生から4日を経て、
ようやくザイフが公式に事件を認め謝罪をすることとなり、
その原因がシステム不具合であったことが公表されました。

参考)16日に発生した異常値の表示に関するお詫びとご報告

16日に発生した異常値の表示に関するお詫びとご報告

その内容は、価格計算システムに不具合が生じたこと、
0円で仮想通貨を購入した人が7人いたこと、
その7人のうち6人には対応が完了し、
のこり1人は対応継続中であることが記載されています。

こうした一連の動きを受けて、
麻生太郎財務・金融担当相は
23日の閣議後の会見で
ザイフへの立ち入り検査に言及したという状況です。

●今回の事件で発覚したこと




今回のシステム不具合による事件は、
該当者7人以外にはあまり関係ないと思われがちです。

実際、ザイフは定期的に不具合を生じていることもあり、
ザイフのヘビーユーザーからは
「いつものこと」「定期イベントだろ」等
という声も聞こえてきています。

ですが、今回の障害で発覚したことは
極めて重大な問題を抱えている気がします。

①ザイフが保有していない量のビットコインが売買されたこと

今回の事件で売買されたビットコインの量は21億BTC。
これはビットコインの限界発行数
2,100万BTCの100倍という存在しえない量です。
つまり、ザイフはそもそも保有してもいない
ビットコインを売買していたことが明らかになった
ことになります。

これには、今回不具合の発生した
「簡単取引」という機能にカラクリがあります。
この簡単取引という機能は、
ユーザー間の売買取引ではなく、
ザイフが保有する(はずの)ビットコインを購入する、
またはザイフへ売却するもので、
ユーザー間取引と異なり待ち時間がなく
スグに売買できるところが特徴です。

今回のシステム障害が
単純にビットコインの販売価格が0円
になっただけであれば、
21億BTCもの数量が
販売されることはなかったはずです。

なぜなら、本来ザイフがもっている在庫の
ビットコインの数量を超えて
販売できるはずがないからです
(在庫確認にも障害があった可能性も考えられますが、その可能性は低いと思います)。

つまり、この簡単決済機能は
最初から在庫確認をしていなかった可能性が高い
ということです。
※このザイフの簡単決済機能は
1回の売買上限が50万円分、
1日上限5,000万円までと明記されており、
これしか確認していなかった可能性が高い。

その理由は定かではありませんが、
様々な憶測を呼ぶことになりそうです。

②ブロックチェーンへの記述がされていないこと

ビットコインはブロックチェーンという技術によって
全てのユーザーに全ての取引が開示されることで
その信頼性を確保しています。

ですが、今回の簡単決済による
ありえない量のビットコインの購入は
ブロックチェーンに記述されていないことが明らかです。

つまり、簡単決済で購入したビットコインは、
ザイフの中では持っていることになっていますが、
ザイフの外では持っていないことになっている
わけです。

実は、現在の大手仮想通貨取引所の多くは
同じような仕組みになっていることが多いのです。

その理由は、1つの取引で
ブロックチェーンの記述まで行うと
時間がかかりすぎることや
多額の手数料がかかること等があげられますが、
実際は取引所のメリットが大きいからとも言われています。

いずれにしても、取引所の非公開記録が全て
という状況ですから、取引所に不具合があれば
預けていた仮想通貨が消えてなくなることも十分ありえるわけです
(ネットでは、ザイフの仮想通貨の取引自体が仮想取引と揶揄され始めています)。

③ザイフの対応が今回の売買をなかったことにするだけで完了していること

今回の障害で被害(?)にあったメンメンさんは、
ザイフの謝罪発表があった段階で
何の連絡も来ていないことを明言しています。

また、ザイフが既に修正により対応を完了したという
他の6人に対して何らかの補償がなされたのか
定かではありませんが、ザイフの約款によれば何の補償もなさそうです。

参考)ザイフ 約款
https://zaif.jp/terms

第20条 免責
7.当社は、システムの異常による本サービスにおける本サービスで取り扱う仮想通貨に係る約定を取り消すことができます。その際、当社は、当該取消その他本サービスに関連して本会員が被った損害につき、賠償する責任を一切負わないものとします。

こうした約定された取引の巻き戻し対応は
証券取引ではありえません。

2001年11月にUBSウォーバーグ証券が
当時新規上場した電通株を
「61万円で16株」とするところを
「16円で61万株」として売り注文してしまいました。

慌てて取り消しましたが、
2分間で売買成立したのは約6万5千株分にものぼり、
UBSウォーバーグ証券は不足分の株券を
かき集めて補填したということがあります。

また、2005年のジェイコム株大量誤発注事件でも
同様な人的ミスとシステム不具合等が重なって
みずほ証券が多額の損失を出し、
金銭的に補填したということもありました。

この事例を見てもわかるように約定された取引は、
どのような形であっても守られるべきものとして
厳守されているわけです。

それは、どのような取引であれ一度約定された取引は
その後の株価に影響を与えているためで、
それを覆すことはそれ以後の取引全てに
疑義が生じることになってしまうためです。

今回のザイフの事件についても、
本来であればいかなる形でも
ザイフが補填するべきですが、
企業としてのモラルの低さや
法律的な規制がないことから
適当な対応をして終えようとしている
と言わざるを得ない状況です。

●仮想通貨はリスクを十分に考慮すべき

今回の事件でも明らかになったように仮想通貨取引は、
取引所に対する規制がなく約定された取引を
取引所の自己都合で取り消すことができる
極めて不透明なものです。

加えて、取引所内だけで行われている取引は、
ブロックチェーンにも記述されず
誰にも保証されていません。

そしてあえて詳述しませんが、
取引所という仕組み自体が
かなりグレーなものであることにも注意が必要です。

ですから、仮想通貨取引を行う人は、
今回の事件のような現状や
リスクをしっかりと理解した上で、
行うようにすることが大切です。

ということで、今回は以上です。
それでは、また次回宜しくお願い致します!