諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです
今回は、「2017年下半期はどうなる?
国民の生活意識から読み解く」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
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■2017年下半期はどうなる?国民の生活意識から読み解く
今月初めに日銀が「生活意識に関するアンケート調査」を発表しました。
いま国民がどのように感じ、
どう考えているのかを見ることで、
今後の景気を読み解いてみたいと思います。
●「生活意識に関するアンケート調査」とは
生活者が現状において抱いている生活実感や、
金融・経済環境の変化がもたらす
意識や行動への影響を把握するために
日銀が実施しているアンケート調査です。
その調査対象は、
全国の20歳以上の個人4000人に
年4回実施しています。
地域格差が生じないように
市区町村ごとの人口を考慮しながら
無作為抽出しているようです。
ですので、概ね平均的な国民の意識調査
と言っても良いでしょう。
実際の調査結果を確認する前に、
まずはこちらのニュース記事を見てください。
●ロイター「家計の物価観、2期連続で上昇 景況感も改善=日銀調査」
[東京 7日 ロイター]
日銀が7日発表した6月の
「生活意識に関するアンケート調査」(第70回)によると、
1、5年後ともに物価が「上がる」と
見込んでいる人の割合が前回の3月調査から上昇し、
2四半期連続で改善した。
今回の調査では、先行き物価が「上がる」との回答が、
1年後で75.4%、5年後で82.3%となり、
前回調査のそれぞれ67.0%、79.3%から上昇した。
1年後は2016年3月調査(75.7%)以来、
5年後は同年6月調査(82.3%)以来の高水準となる。
一方、具体的な物価上昇率に対する質問では、
平均値が1年後は3.9%上昇、5年後は3.8%上昇となり、
それぞれ前回調査の3.5%上昇、
3.4%上昇からプラス幅が拡大した。
平均値は1、5年後ともに2.0%で、
前回から横ばいだった。
景況感判断DI(良くなった─悪くなった)は
マイナス16.2となり、前回調査から1.9ポイント改善。
2015年9月調査(マイナス15.2)以来の
マイナス幅に縮小した。
生活にゆとりがあるかを示す暮らし向きDI
(ゆとりが出てきた─ゆとりがなくなってきた)は、
マイナス32.9と過去最高となった前回調査から
0.5ポイント悪化したものの、高水準を維持。
現在と1年後の収入DI(増えた─減った、増える─減る)や、
1年後の支出DI(増やす─減らす)、
雇用環境DI(不安をあまり感じない─かなり感じる)などが
過去最高を更新。
足元の物価上昇に加え、こうした家計の景況感や
生活実感の改善が家計の物価観の上昇に
つながっている可能性もある。
アンケートは5月12日から6月7日にかけて
全国の満20歳以上の個人、4000人を対象に実施した。
有効回答者数は2198人で、有効回答率は55.0%だった。
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※参照:ロイター 2017年 07月 7日 15:16 JST https://jp.reuters.com/article/boj-7-survey-idJPKBN19S0KJ
この記事を見てどのような印象をお持ちでしょうか?
記事中に太字で表現してある個所は元記事にはなく、
こちらで追加したものですが、その単語だけを見る限り、
「なんだか景気が良くなっている」という印象を持ちませんか?
もちろん記事に書かれている内容に
間違いはありませんが、前回調査との変化に
焦点をあてすぎているため、良くなっている感が
過度に誇張されている気がします。
特に注目してもらいたい箇所が次の一節です。
「生活にゆとりがあるかを示す暮らし向きDI
(ゆとりが出てきた─ゆとりがなくなってきた)は、
マイナス32.9と過去最高となった前回調査から
0.5ポイント悪化したものの、高水準を維持。」
基本的に前回調査との変化に焦点をあてていたはずですが、
この箇所だけ「悪化したこと」をスルーして
「高水準を維持」とまとめています。
何か恣意的なものを感じなくもないですが、
やはりちゃんと実際の調査結果で確認みましょう。
●直近の調査結果「今後物価はあがる。景気は悪くなる。」
ザックリ言うと、
「国民は物価の上昇を確実に感じてきていて、
景気は悪くなる」と考えているようです。
「え?さっきと印象が…」と言いたくなる
気持ちを抑えて、まずは主なポイントを確認してみましょう。
【景況感】
調査対象者に、景気が「1年前と比べてどう変わったか?」
「今と比べて1年後はどうなるか?」を3択で聞いた結果です。
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パッと見でわかる通り、
約7割が「変わらない」、2割強が「悪くなった」
と感じているようです。
また、1年後の景気についてもほぼ同様に
「変わらない」と感じていることも
お分かりだと思います。
つまり、「景気はかわらない、むしろ悪くなった」
「1年後も同じ」と感じているという事です。
先ほど紹介したニュースでは、
景況感D.I.のみに言及し、
前回調査より改善したことを強調していました。
景況感D.I.は、景況感の3択アンケートを集計・分析した結果で、
今後の方向性や傾向を占う目的があるので
間違っていないのですが、その元となるアンケート結果を見ると
印象が変わるのではないでしょうか。
【暮らし向き】
調査対象者に、暮らし向きが
「1年前と比べてどう変わったか?」を3択で聞いた結果です。
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約4割が「ゆとりがなくなってきた」、
約5割が「どちらとも言えない」と結果です。
前回調査から見ても、
若干ながら悪化している点も
気を付けたいところです。
この結果を見て、どうお感じでしょうか?
おそらく「ゆとりがなくなってきている」
と感じるのではないでしょうか。
先ほどのニュース記事に
固執するわけではありませんが、
印象が違ってくるのではないでしょうか。
【物価】
物価についても抑えておきましょう。調査対象者に、
物価が「1年前と比べてどう変わったか?」
を5択で聞いた結果です。
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なんの異論もないと思いますが、
「かなり上がった~少し上がった」で67.4%と
約7割近くが物価上昇を感じています。
また、上昇値は4%以上で
前回の消費増税の増加分(3%)を
上回っています。
【収入】
重要な指標である収入についても確認しておきます。
調査対象者に、収入が「1年前と比べてどう変わったか?」
「今と比べて1年後はどうなるか?」を3択で聞いた結果です。
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収入は、「変わらない」が5割強、
「減った」が3割強という結果で、
1年後も同様に感じているようです。
ほとんどの人が「増えてない、むしろ減った」
と思っているわけですから、景気の実感としても
悪く感じている人が多いはずです。
特に、「1年後の収入が増える」と感じる割合が、
「1年前と比べて増えた」と感じた割合より
下がっているため、今年収入が増えた人も、
「来年は増えないだろう」と思う傾向にあると言えそうです。
参考)日本銀行 生活意識に関するアンケート調査 http://www.boj.or.jp/research/o_survey/index.htm/
●国民「物価は上がってるけど、収入は増えない。」
実際の調査結果を見ていかがでしたでしょうか?
全体を俯瞰してみると、物価の上昇を多くの人が
確実に感じている一方で、収入が増えない
という状況にあることがわかります。
その上で、景気を聞かれても「良いわけがない」
と感じていることが、如実に表われていると思います。
確かに、ニュース記事のように前回調査との変化に焦点をあてると、
確かに微妙に改善傾向にあるのは間違いではありません。
ですが、どの指標を見てもほとんどが
数十ポイントのマイナス値の中で、
数ポイント増加したことをことさら評価するのは、
やはりおかしい気がします。
逆に、ことさらネガティブに現在の景況を嘆くのも
おかしいと思いますが、現実をしっかり見据えた上で
客観的な評価をするべきだと思います。
「景気の気は、気持ちの気」とよく言います。
確かに、みんなの気持ちがポジティブであれば、
景気も良くなるでしょう。
ただ、それは客観的な事実から
個人個人が感じたものであるべきだと思います。
そういう意味では、ニュース記事の言い回しだけに
振り回されることなく、自分でしっかりと
情報を収集することが大切だと思います。
●結局、2017年下半期はどうなる?
おっと、このまま終わってしまうところでした。
今回の「生活意識に関するアンケート調査」を見ると、
やはり「物価上昇に対して収入の増加が見込めない」
という傾向が強く表れています。
確かに、雇用環境は改善されてきており、
最新の完全失業率は3.1%、
有効求人倍率は1.49倍となっており、
人手不足が顕著化しています。
一方で、最新の平均所得金額は、
545.8万円(H27)で5年前より3万円下がっています。
参考)平成28年 国民生活基礎調査の概況 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html
つまり、重要ポイントは、
所得がどの程度増加してくるか
にかかってくるのではないでしょうか。
一般のサラリーマンの場合、
昇給・賞与は年1~2回ですから、
この夏・冬のボーナスや組織改編などによる
昇給が重要になってくると思います。
わかりやすく夏のボーナスが
大幅に増加傾向となれば、
少なからず下半期の景況への影響は
あるのではないでしょうか。
大手企業を中心に企業業績は良い傾向ですから、
夏のボーナスが増える可能性は高い気がします。
ちなみに7月10日の今日、
ボーナス支給の会社が多いと思いますので、
近日中にニュースなどで発表があると思います。
長々と書いてきましたが、
2017年の景況は決して良い見通しではないと思います。
それは国民が肌身で感じていることで、
調査結果にもしっかりと表れていました。
ですが、景気が好転する契機がないわけではありません。
現在、深刻化しつつある人手不足が
賃金上昇へと波及して来れば、
長期的に好転する可能性はある・・・
と言ったところだと思います。
まずは、夏のボーナスに注目ですね。
それでは、今週の報告は以上です。
次回も宜しくお願い致します。