お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「2018年度税収」
についてのお話です。
しっかりチェックしておきましょう!

2018年度税収 バブル期越え過去最高

2018年度税収 バブル期越え過去最高

財務省が2018年度の一般会計決算概要を
発表しました。
それによれば、税収は60.3兆円となり、
1990年度のバブル期を越え過去最高を記録。

参議院選挙で消費税増税の是非が問われる真っ只中ですから、
確実に物議を醸し出すことになりそうです。
ぜひチェックしてみてください。

●18年度税収 バブル期越え過去最高

まずはニュースからです。

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国の税収、過去最高=バブル期超え、60.4兆円-18年度

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019070200857
2019年07月02日18時40分 時事ドットコムニュース

財務省が2日発表した2018年度の一般会計決算概要によると、
国税収入は60兆3564億円(従来見込み額59兆9280億円)となった。
バブル期の1990年度(60兆1059億円)を超え、過去最高を記録。
17年度の58兆7875億円を1兆5689億円上回った。

国内の雇用環境の改善を受けて給与や配当などが伸び、
所得税が19兆9006億円と、94年度以来24年ぶりの高水準。
見込み額より約4300億円上振れした。

このうち約4000億円が、昨年12月の携帯電話大手ソフトバンクの
東証1部上場に伴って親会社のソフトバンクグループが
受けた配当金に対するものとみられる。
財務省は一時的な増収要因だと指摘している。

法人税は12兆3180億円、消費税が17兆6809億円で
いずれも17年度を上回った。
ただ、消費税は見込み額の17兆8230億円には達しなかった。

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記事では分かりづらいので、次のグラフを見てください。

財務省 一般会計税収の推移

参考)財務省 税収に関する資料
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf

少し古いものなので2018年度の税収は予算段階のものですが、
過去の税収推移を把握することができます。

この度の発表によれば、グラフの一番右となる
18年度一般会計税収が60兆3,564億円となりました。
内訳は、法人税(青破線)12兆3,180億円、
所得税(ピンク実線)が19兆9,006億円、
消費税(黒実線)が17兆6,809億円で
いずれも17年度を上回っています。

さらに、1990年度のバブル期最高税収が60.1兆円で、
今回はそれを上回ったという発表です。

特に注目して頂きたいのが、消費税の推移です。

1989年(平成元年)に導入され、
翌90年度は4.6兆円だったものが、
17.6兆円まで増加してきたことがよくわかります。

そして、それに代わるように
所得税・法人税は減少してきています。

つまり、消費税が所得税・法人税の代わりの財源
とされてきているのです。

加えて、今年10月には消費増税10%が導入されますから、
その傾向はさらに進むことになります。

では、国はなぜ消費税に
移行しようとしてきたのでしょうか。

●消費税に移行しようとしてきた理由は?

平成30年度11月に開催された財政制度等審議会では、
平成の財政について次のように総括しています。

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言うまでもなく、税財政運営の要諦は、
国民の受益と負担の均衡を図ることにある。
他方で、誰しも、受け取る便益はできるだけ大きく、
被る負担はできるだけ小さくしたいと考えるがゆえに、
税財政運営は常に受益の拡大と負担の軽減・先送りを求める
フリーライダーの圧力に晒される。

平成という時代は、人口・社会構造が大きく変化する中で、
国・地方を通じ、受益と負担の乖離が徒に拡大し、
税財政運営がこうした歪んだ圧力に
抗いきれなかった時代と評価せざるを得ない。

(中略)

新たな時代においては、財政健全化どころか
一段と財政を悪化させてしまった
平成という時代における過ちを
二度と繰り返すことがあってはならず、
手をこまねくことは許されない。

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要するに、
「国民の受益と負担が拡大しているにも関わらず、
国民が嫌がっているので政治家が甘やかしてきた。
その過ちを繰り返すな。」
という痛烈な反省と批判で総括されています。

この内容は、嫌がる国民にお灸を据える
懲罰的な意味合いさえ含まれるのではないか
と思うようなものになっていますが、
これでは所得税や法人税が減税され
消費税だけが増税される理由にはなりません。

この疑問に財務省は次のように答えています。

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今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで
減っていく一方で、高齢者は増えていきます。
社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、
社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、
一層現役世代に負担が集中する
こととなります。
特定の者に負担が集中せず、
高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、
高齢化社会における社会保障の財源にふさわしい
と考えられます。

また、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少していますが、
消費税は税収が経済動向に左右されにくく安定した税
と言えます。

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要するに、
「現役世代だけでなく高齢者を含めて
広く負担を求められる消費税が適している。
不況でも税収が安定するし。」
ということのようです。

一見すると、正しいことを言っているようですが、
大きな矛盾があります。

所得税は累進課税であり、
基本的に年齢を考慮する制度ではありません。
(一部、公的年金等控除等の制度はあります。)

つまり、高齢者でも所得が高ければ
応分の負担を求めることができるのが所得税制度ですから、
年齢が減税の理由にはならないはずです。

実は、財務省の説明には
言葉のマジックが含まれています。

財務省は「現役世代」に負担が集中するから
広く国民が負担すべきだと言っています。

普通に考えれば、現役世代とは
しっかり働いている生産年齢人口(15~65歳)を指し、
そこに負担が集中していると主張しているように見えます。

ですが、先に説明したように
個人の所得は年齢とは関係ありませんし、
高齢でも投資や資産運用等で
多額の所得を得ている人も多くいます。

つまり、財務省が本当に言いたかったのは、
所得税を増税すれば高所得者に負担が集中するから
止めるべきだと言いたいのです。

ですが、そのままストレート言ってしまえば、
庶民の反発を受けるのは確実ですから、
「高所得者」のことを「現役世代」と言い換えて
ごまかしているわけです。

要するに財務省の本当の狙いは、
所得税を減税して代わりに消費税を増税することだった
と見ることができるわけです。

●消費増税目前だからこそ考えるべきこと

財務省は、所得税や法人税は景気に左右されるが、
消費税は景気に左右されず安定しているから
適していると言います。

裏を返せば、
「不況でも安定してとれるから消費税がいい」
と言っているのです。

失われた20年とも30年とも言われる不況だからこそ、
消費税を増税したいということでしょう。
幸いにして今は参議院選挙の真っ只中でもあります。

我々国民は、こうした国や財務省の考え方をよく理解して、
しっかりと意志を示すべき時ではないでしょうか。