お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「春闘」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

春闘に異変!? トヨタの考える問題意識

■春闘に異変!? トヨタの考える問題意識

春と言えば春闘の季節。
給料アップに向けて労働組合が一斉に
企業の経営層と交渉を行う季節です。
近年は企業業績の好調や政権の強い意向を汲んで
賃上げに前向きだった企業側ですが、
今年は少し異変が起きているようです。
まとめてみます。

●ベア重視のあり方が問われる? 今年の春闘に異変

まずはニュースからです。

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「在り方問われる春闘=ベア重視、横並びに変調-脱「官製」で息切れ

3/16(土) 8:28配信 時事通信社
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190316-00000031-jij-bus_all

世界経済の不透明感が強まる中で、
労使交渉が進んだ2019年春闘。
基本給を底上げするベースアップ(ベア)で
前年割れの決着が相次ぎ、
賃上げの勢いを維持できなかった。
経営環境が大きく変わる中、
経営側がコスト増につながる賃上げに
慎重姿勢を強めた上、
政府が賃上げの旗を振る「官製春闘」の
追い風がなくなったことも響いた。
ベアを軸に横並びで展開してきた交渉は
変調を来しているが、
春闘の在り方が改めて問われる結果となった。

▽進む交渉見直し
「100年に1度の大転換期」にある自動車業界。
賃上げの相場形成のリード役である
トヨタ自動車の労使交渉は13年ぶりに
回答日当日までもつれる異例の展開となった。
業界を取り巻く環境に危機感を抱く
経営側と労組の溝は大きく、
年間ベースで回答してきた一時金では、
約50年ぶりに夏季分のみで決着。
冬季分は改めて協議することとなった。

人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)といった
技術の進展で産業構造が大きく変わる中、
危機感を強めているのは、他業界も同じ。
固定費の増加につながるベアを避け、
生き残りに必要な優秀な人材を確保するためにも、
人件費を従業員教育や研修に振り向けたいのが
経営側の本音だ。

一方、労組側も交渉方法を見直す動きが出てきた。
トヨタの労組はベア額を示さない要求方式に変更、
マツダも同様の方式を取った。
電機大手でも、各社の業績に違いが目立つ中、
主要企業の労組が同一のベア額を求める
「統一交渉」の見直しに向けた模索も始まった。

▽経団連会長「勢い守れた」
今春闘では、脱「官製春闘」も
大きなテーマとなった。
前年の春闘では、安倍晋三首相が「3%以上の賃上げ」
を経済界に呼び掛け、目標には届かなかったものの、
ベアと定期昇給を合わせて2%台の水準を実現した。
労使は「官製」に強く反発し、
賃金決定は労使の専権事項という原則を強調。
政権側からの要請もトーンダウンした。

しかし、米中貿易摩擦を背景とする
中国経済の減速などで
企業業績が下方修正に追い込まれる中、
ベア回答は多くが前年水準に届かなかった。

今年10月には消費税率引き上げを控える中、
個人消費を喚起して日本経済の好循環を生み出す
という大義名分を掲げ、
労組は賃上げを訴えてきたが、今回の結果には
「業績が良すぎた前年より下がっても仕方がない」
(電機大手労組幹部)と諦めの声も漏れた。

連合の神津里季生会長は一斉回答を受けて会見し、
「土台としてはそれなりのものを引き出した」
と指摘。
経団連の中西宏明会長は
「賃上げをしようという
基本的なモメンタム(勢い)は守れた」
と肯定的な受け止めを語ったが、
今後本格化する中小の春闘の結果次第では
「官製」を求める声が高まりかねない。

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日本労働組合総連合会(連合)の中間集計によれば、
現段階での平均賃上げ額は、
6,653円(前年同期比・138円増)で
賃上げ率2.16%(前年同期比・増減なし)となり、
前年とほぼ同水準であったと発表されました。

また、従業員300人未満の企業では、
平均賃上げ額5,386円(前年同期比・384円減)、
賃上げ率2.12%(前年同期比0.05%減)となり、
若干弱さが見える結果となりました。

全体的に見ると、一定の賃上げは
されることになりそうですが、
中小企業をはじめとして
若干弱さが見え始めているようです。
その背景には、いくつか理由がありそうです。

まず1つは、近年行われていた政府からの要請が
控えめになったこと。

ここ数年は政府が経済団体へ
異例の賃上げ要求をしており、
それに経済団体が応える形で
賃上げをけん引していた感がありました。
が、一部から「官制春闘」
といった批判がでていたことから
政府が自粛しつつあります。
政府からの圧力が弱まったことが
賃上げ額へ影響しているのかもしれません。

もう1つは、先行き不透明な経済状況。

米中貿易戦争を背景に
中国経済の失速が顕著化していることや
終着点の見えないブレグジット、
半島情勢も米朝会談の決裂によって
行き詰った韓国経済などの海外要因に加え、
消費増税10%による約束された
国内景気の減速を考慮すれば、
賃上げを抑えたくなる企業側の心理も
わからなくもありません。

中でもトヨタの対応は今後の春闘の在り方に
大きな問題提起をすることになりそうです。

●トヨタの問題意識

トヨタの春闘の結果は、
同業他社や部品メーカーなどが
トヨタのベアを参考に決める慣行が強く残っており、
その影響は多くの企業に影響を及ぼしていると
言われています。

そのトヨタグループがここ近年、
春闘での状況を変えてきているようです。

今年の春闘で豊田章男社長が
「日々、努力し続ける人を応援していく。
そういう会社にしたい」と語り、
労務担当の執行役員が
「一律の賃上げよりも、
プロを目指して成長し続ける人が
報われる環境整備をやっていきたい」と述べ、
賃金一律の引き上げである「ベア」に対して
慎重な姿勢を明確にしたのです。

そもそも春闘では、組合員全員の一律ベースアップを
基本的な方針としてきており、
ある種のイデオロギーに
基づいたものとなっています。

そのため、ベアを否定するトヨタ側の主張を
組合側が易々と受け入れることはないわけです。

そうしたことから、トヨタ経営側と組合は一時決裂。

豊田社長の口から
「今回ほど(労組側との)距離感を感じたことはない。
赤字の時も、大変な時も従業員に向き合ってきた。
自分は一体、何だったのか」
との発言が飛び出したと報じられています。

●雇用環境の変化が求めるもの

こうしたトヨタをはじめとする
大手企業の雇用環境、労働環境は
劇的な変化が求められています。
人口減少社会で人手不足が深刻化する中で、
優秀な人材を獲得するためには
「従業員が働きやすい環境を整え優位を保つ」
必要があるわけです。

その問題は多岐に渡ります。
働き方改革によって
過度な残業が抑制され労働時間の減少し、
かつ人口減少により人手不足が加速化、
同一労働同一賃金が進められる中で
正社員と非正規の格差が問題視されるとなれば、
従業員が一律でベースアップすることは
事実上不可能になってきています。

もともと高度成長期時代は、
従業員は家族だと考える企業も多く、
同期入社の社員は一律同じ給与で
能力給での差は多少あれど
大きな差がつくのは役職手当程度
という給与体系を組んでいる企業は多かったのです。

そこにはどのような仕事をしていようとも
「みんなで取り組んでいるから」
という一体感や家族経営たるゆえんとなる
配慮や暖かみがありました。

しかしそれ故の弊害もあったわけです。

それは年功序列の賃金体系や
終身雇用に代表される古い体質です。
こうした概念は現在では「古く改革すべきだ」
という考える人が増えていると思いますが、
春闘の現場では未だに組合から
それらが求められているのです。

これは、変化する社会に対応しようとする経営側と
これまでのやり方に固執する
組合側の戦いとも言えそうです。

日本の経済成長が停滞している背景には
こうした攻防が影響しているのかもしれません。

ちなみに、今年のトヨタの春闘の結果は、
結局経営側が折れてベアに相当する
一律引き上げが実施されることになりました。

但し、ボーナスについては
決着せず継続協議となり、
労務担当の執行役員は
「前年踏襲型ではなく一度リセットする」
と発言しています。

こうしたトヨタの問題提起が
今後大きな波紋となることは間違いないでしょう。

以上、いかがでしたでしょうか。
多くのサラリーマンからすれば気になる春闘。
残業できなくなり実質の給料が減る人が多い中で
少しでも給料アップしてほしい
と考える人も多いと思います。

ただ、今回トヨタの春闘に見られる攻防は、
日本の雇用環境に大きな問題提起をするもの
になっていると思います。経営側も組合側も
多様化する雇用環境の問題を共有し、
一緒に解決へ向けて考え行動していく事が
求められるのではないでしょうか。

いずれにしても
今後も注目していきたいところですね。

それでは、また次回、宜しくお願い致します。