お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「消費税のポイント還元」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

消費税のポイント還元はどうなった?

■消費税のポイント還元はどうなった?

消費増税時にポイント還元をする方向で
検討が進んでいますが、
実際どのようなものになるのでしょうか?

今、国会で様々議論されているようですが、
全貌が見えてきました。
そこで、現段階でわかる全貌と
何が問題なのかをまとめてみます。

 ●どんな仕組みになるのか?

「消費増税に伴うポイント還元をどのように行うか」
これは、経済産業省が中心となって検討し
準備を進めているようです。

その事業は「キャッシュレス・消費者還元事業」
と称され、次のような仕組みになるようです。

キャッシュレス・消費者還元事業の仕組み

ザックリ言うと、キャッシュレス決済事業者が
加盟店舗での決済結果を取りまとめて
国の事務局へ補助金請求する
というものになっています。

実施期間は、消費増税が行われる
2019年10月1日から9か月間
実施することが予定されています。

ポイント還元されるケースは、
次のようなものです。

  • 中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店等での支払いは5%還元
  • フランチャイズチェーン加盟店等での支払いは2%

事業総額は2,798億円で、
消費者へのポイント還元だけでなく、
中小企業の決済端末の導入費用や
決済手数料の一部も補助されます。

こうした仕組みの全貌を見ると、
これはかつて実施された
エコポイント制度の焼き直し
のような印象を受けます。

エコポイント制度は、
2009年から約2年間実施された制度で
省エネ商品を購入した消費者にポイントを付与し、
事務局へ申請するとポイントに応じた商品と
交換できるというものでした。

その経済効果は5兆円にのぼり
32万人の雇用を生んだと総括されています。

反面、需要の先食いがあったことや
手続きが煩雑で膨大なマンパワーが
必要だったことが指摘されていました。

そう考えると、今回の
「キャッシュレス・消費者還元事業」では、
手続きの煩雑さが大幅に改善され、
エコポイントよりは利便性が高まり、
商品が限定されているわけではないですから
幅広い利用が進む可能性がありそうです。

とは言え、やはり多くの問題点も指摘されています。

●様々な問題点が指摘されている

現在の国会でも様々な問題が指摘されています。
その主な内容は次のようなものです。

・実質税率が多岐に渡り消費者が混乱する

意外と勘違いしがちですが、
「キャッシュレス・消費者還元事業」は
「消費税の軽減税率」とは全く別物です。

つまり、ポイント還元に加えて
更に軽減税率が適用されることになるのです。

そのため、その両方を考慮した
“実質税率”は、多岐にわたる
ことになってしまいます。

例えば、個人商店でお弁当を
キャッシュレス決済で購入し持ち帰れば、
ポイント還元5%+軽減税率2%で
実質消費税率は3%になります。

ですが、同じ商品をコンビニで買えば
ポイント還元2%+軽減税率2%で実質6%となり、
大手スーパーで買うと
軽減税率2%のみで実質8%となります。

つまり、同じお弁当を買っても、
実質消費税率は3%、6%、8%
となるわけです。

さらに、そのお弁当を店内で食べるような場合は、
軽減税率が適用されませんから
「買うお店」
「持ち帰るか否か」
実質税率が6種類に分かれる
ことになるのです。

こうした状況が消費者に分かりにくく
混乱を招きやすいと指摘されています。

・コンビニとスーパーの不公平感

大手スーパーは中小企業に該当しないため、
今回の事業の対象外です。

一方で同じ大手企業であるはずの
コンビニチェーンはポイント還元の対象に
なることになりました。

その理由は、コンビニの事業形態が
フランチャイズ制度であることが挙げられています。

フランチャイズの各店舗は、実質的な経営を
中小企業が行っていることが多いのです。

今回の制度の趣旨は
中小企業支援も含まれていますから、
最終的にフランチャイズ加盟店は2%補助
ということで決まったようです。

こうした状況に大手スーパー側からは
批判の声が上がっているようです。

とは言え、実はそのコンビニ側も
手放しで喜べる状況ではなさそうです。

コンビニの各店舗の中には、
本社が直営するものもあり、
その店舗は今回の制度の対象外となっています。
そのため、今回の制度をそのまま適用すると、
同じコンビチェーンでも店舗によって
ポイント還元されないことになってしまうのです。

そのままでは消費者が混乱するのは確実ですから、
大手コンビニは自主的に直営店でも
ポイント還元する方向で検討しているようです。

・決済手数料が中小企業の経営を圧迫する

以前からずっと指摘されていることですが、
キャッシュレス決済の手数料は
概ね3%前後となっているため、
キャッシュレス決済の利用が進めば進むほど
中小企業の経営を圧迫することになります。

そうしたことを考慮して、今回の制度では
キャッシュレス決済を導入する
中小・小規模事業者には、端末費用の2/3が補助され、
さらに決済手数料の1/3が補助されます。

とは言え、補助されるのはあくまでも初期費用と
制度が実施されている
9か月間の一部の手数料だけですから、
制度が終わってしまえば負担となる
のは間違いないと言われています。

一方の見方としては、現金決済にかかる手間が
軽減されることで業務効率が向上することになり、
人件費などの負担が軽減する可能性
などが挙げられています。

・予算見通しが甘い

今回の事業総額は、2,798億円となっています。
どのように試算されたのかは定かではありませんが、
一部の政治家からは
予算規模が小さすぎるのではないか
との指摘もされているようです。

エコポイント制度の実施初年度(約11ヵ月)で
約2,946億円でしたから、ほぼ同様の規模感で
考えていると言えそうです。

昨年末に実施されたPaypayの
100億円キャッシュバックキャンペーンは
僅か10日間で500億円以上を売り上げて
終了してしまいました。
この例を考えると、確かに予算が少なすぎる気が
しないでもありません。

一方で、全く逆の試算をしている
エコノミストもあり、
経済効果はGDPの0.02%(約1,300億円)程度
しかないとの話もあるようです。

・不正利用される可能性がある

中小小売店での幅広い決済が進むことで、
不正利用される可能性が高いと指摘されています。

例えば、換金性の高い商品を中小小売店で購入し、
それを転売することで無限にポイント還元の
恩恵を得ることができてしまうわけです。

実際問題、クレジットカードの決済情報は
どこで買ったかは把握できるが
何を買ったかは正確にはわからない状況にあり、
商品ごとに制限をかけることは難しいはずです。

現段階では、クレジットカード会社などが
導入している不正取引を検知するシステムなどを
利用して対応する予定とのことですが・・・。

この他にも、「需要の先食いとなる可能性が高い」、
「金持ちが有利で格差が拡大する」
などの批判も根強くあります。

そうした状況でもありますが、
政府・経済産業省は着々と準備が進められており、
予定通り実施されることになりそうです。

以上、いかがでしたでしょうか。
今回の制度は確かに準備不足や
見通しの甘さなどがありますが、
キャッシュレス決済が
国民に広く普及することになるのは
間違いなさそうです。

そう言った意味では、決済事業者は
千載一遇のチャンスがやってくることになり、
様々な独自のキャンペーンを打ち出して
切磋琢磨することになるのではないでしょうか。

そう考えると、現段階で想定している
予算規模では足りず、
想像以上の効果が生まれる気がします。

その一方で、実施期間は増税後の僅か9ヶ月間ですから
需要の先食いと反動減の影響も
非常に大きいものになってしまいそうです。

いずれにしても、現政権としては
このまま突っ走ってしまうことになりそうですから、
今後の動向を見守りつつ、
一人の消費者として賢い選択をしたいところですね。