諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「法人保険」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

「法人向け定期保険」が規制されるかも!? 金融庁が実態調査へ

企業経営者の節税対策として、
広く浸透している生命保険。
その生命保険が規制される可能性が出てきました。

一体何があったのでしょうか、まとめてみます。

●金融庁が生命保険の実態調査へ

まずは、ニュースからです。

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「節税保険」実態解明へ 金融庁、商品設計を問題視

朝日新聞DIGITAL 2018年6月29日07時21分
https://www.asahi.com/articles/ASL6X5HPFL6XULFA035.html

生命保険各社が「節税」をアピールして中小企業経営者に
売り込む保険について、金融庁が商品の設計などを問題視し、
実態調査に乗り出した。保険料支払いで課税所得を減らし、
将来解約すれば保険料の多くが戻って節税効果を上げる商品。
最近は保険会社の営業が過熱しており、
金融庁は保険の趣旨を逸脱するおそれがないかも調べる。

問題になっているのは、「法人向け定期保険」。
主に中小企業が契約し、経営者や役員の死亡の際に
保険金が支払われる。いくつかの条件を満たせば、
保険料は全額経費扱いになる。

企業は保険料支払いで利益を圧縮し、法人税支払いを減らせる。
加入後10年程度で解約すれば、支払った保険料の多くが
「解約返戻金」として戻る。利益を上げて税金を払うより、
保険に入って返戻金を受け取った方が手元にお金が残る。
返戻金は課税されないように、役員退職金などの経費に充てる。

日本生命保険が昨年4月に発売した「プラチナフェニックス」の場合、
60歳で契約し、保険料を10年間支払った後解約すると、
当時の基準で支払った保険料の約85%が手元に残る。

これに対し、通常通りに法人税を払うと、
利益のうち手元に残るのは約66%だ。
保険に入った方が、手元に残るお金は3割近くも多くなる。

生保各社は同様の商品を相次いで投入しており、
第一生命保険が今年3月発売した商品では、
手元に残るお金が、法人税を払った場合より
4割超も多いケースがあった。

ただ節税のために中途解約を推奨する商品は、
死亡時の保障という本来の趣旨からは逸脱しかねない。
営業現場では「節税PR」も横行。
返戻金を引き上げるために不自然な設定を
している商品まで登場したことで、
金融庁は脱法的な行為になりかねないと判断している模様だ。

同庁は今月、生保各社に対し、法人向け定期保険の
実態を問うアンケートを送った。
今後個別に聞き取りをすすめ、
年度内に必要な行政措置を判断する。

生保業界では以前も同様の保険販売が過熱。
2008年には国税庁が通達で、保険料の一部を
経費に算入できなくするなど厳格化してきた。
最近は商品内容を変え、
通達の「抜け穴」を突いているとみられる。

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節税対策として、多くの経営者が
利用・検討しているあろう生命保険ですが、
ここに来て金融庁が問題視し始めているようです。

そもそも生命保険が節税対策になるカラクリは、
保険料を全額損金として算入することができるためです。

これを利用して、期末に多くの利益がでている会社は、
生命保険に加入することで利益を減らし、
結果的に法人税を軽減させることができるわけです。

さらにその生命保険は、途中解約することで
解約返戻金が決められた率で返ってくることになっており、
解約返戻率が最も高い時に解約すれば
実質的に120%以上の実質返礼率になるものも登場しています。

例)保険加入時とそうでない場合の比較例

毎年300万円の保険料を5年間継続して、解約した場合

累計保険料  解約返戻率   返戻額
1,500万円 × 約85% = 1,275万円

 

毎年300万円の利益を5年間課税された場合

累計利益額    実効税率    税引後利益額
1,500万円 × ( 1-約30%) = 1,050万円

 

※保険に加入・解約した場合は、
課税された場合と比べて225万円多くお金が残る。
(実質返戻率 約120%)

こうした高い返戻率や返戻金を「売り」にして
ホームページやパンフレットに記載して
営業していることから、
本来の「生命保険としての目的」を
逸脱しているのではないかというわけです。

●金融庁が問題視しているのは何か?




多くの方がご存じだと思いますが、
こうした状況は以前からずっと続いてきていました。

法人において、投資型の節税対策として
生命保険はとてもポピュラーなもので、
顧問税理士が節税対策として
勧めるケースも少なくないはずです。

では、一体何を問題視しているのでしょうか?
今回、実施が報道されている内容は、
保険各社への調査で「法人向け定期保険」の
保険料設定状況などについて実態調査を行うというもの。

これはあくまで推測になりますが、
「過熱している販売競争を抑え込みたい」
という意図がある気がします。

Googleなどで「法人税節税」など検索すると、
「裏ワザで節税できる」といった内容や
返戻率の高さを競い合うような広告が
バンバンでてきますから、
商品の趣旨が本来の生命保険ではなく
「節税」に重きを置きすぎていること等を
是正したいのでしょう。

また、国税庁からの圧力もあるのかもしれません。
保険各社の商品は申請・認可が必要となるものですから、
その実態や返戻率などを含む商品の内容については
監督官庁である金融庁が把握しています。

ですが、実際の商品の販売実態は、
納税という形で国税庁が把握しているわけです。

国税庁としては、
できるだけ多く税金を取りたい訳ですから、
金融庁が認可した「節税保険」が気に入らないわけです。

もしかすると、国税庁が現在の保険料を
全額損金に算入できる状況を変えるような
動きをしているのかもしれません。

そうした背景から、
「金融庁が先手を打って実態把握のために動いた」
と考えることもできるのではないでしょうか。

いずれにしても、そう遠くない未来に
何らかの動きがあると考えるべきでしょう。

以上、いかがでしたでしょうか。

とりあえず今のところは、
まだ具体的な規制という話ではありませんが、
今後の動きの前兆と捉えることができそうです。

昔と違って今はネットでの販売が
増えてきている保険業界ですから、
必然的に広告が過剰になってくるのは
致し方ない気がしますが、
行き過ぎた表現を抑えたいという意図がある気がします。

とは言え、最終的に何らかの規制が入るとなれば、
「この商品を利用できるのは今だけ!」
といったセールスも横行するでしょうから
一時的に逆効果な側面もあるのでしょうが。。。

いずれにしても、今後の動向に注目したいところですね。

さて、今回は以上です。
次回も宜しくお願い致します。