諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです!

12月も最終週!私の報告も今回が2016年最終です。

さて、今回の報告は、平成29年度の税制改正から「タワーマンション関連」
について調べていますので、報告内容をご覧ください。

■平成29年度税制改正:タワーマンションの税金どうなる?

12月22日に平成29年度税制改正の大綱が閣議決定されました。
今回の税制改正では、以前まとめた配偶者控除の見直しや、
富裕層やグローバル企業の過度な節税や租税回避を防止する対策が盛り込まれています。
そうした税制改正の中から、今回はタワーマンションについて、まとめたいと思います。

●タワーマンションの固定資産税見直し

平成30年以降に引き渡される20階建て以上の
新築のタワーマンションの固定資産税が見直されます。

次の図を見てください。

タワーマンションにかかる固定資産税は、床面積が同じであれば、
階数が違っていても同じ税額が課される仕組みとなっています。

今回の改正で、マンション1棟全体の税額は変えずに、
中間階を起点として、階が1階上がる毎に約0.25%増税となり、
同様に階が1階下がる毎に約0.25%の減税とするものです。

40階建てのマンションの場合、
最上階では約5%の増税となり、1階では約5%の減税となるわけです。

●なぜ改正されたのか?

これまで、タワーマンションの固定資産税額は
1棟の固定資産税額を各所有者が専有する床面積に応じて按分するものでした。
つまり、床面積が同じであれば1階と最上階が同じ税額であるということです。
実際の購入金額は、1階と最上階では2倍以上差があることも
珍しくありませんので、不公平感があったわけです。

また、この税額が床面積で決まっていることを利用した
節税対策が広く浸透してしまっていました。
いわゆる「タワーマンション節税」です。
こうした問題の是正のために改正されたようです。

●タワーマンション節税に影響は?

一般的にタワーマンションの高層階は、
眺望が良い等の理由から市場での取引価格が高額になります。
ですが、税額は床面積で按分されるので、実質的に節税になるわけです。

そもそも、タワーマンションは総床面積がとても広いため、
所有者が多く、床面積当たりの税額が低くなりがちです。
さらに、より高層で取引価格が高額であるほど節税効果が高いことになりますので、
富裕層を中心に「タワーマンション節税」として注目を集めていました。

このタワーマンション節税の浸透は幅広く、タワーマンションの営業トークに組み込まれていたり、
入居者募集のホームページでも堂々と宣伝されるほどで公然の節税方法となっていました。
特に相続対策として考えると、タワーマンションは相続税を大幅に押し下げつつ、換金性が高く、
さらに賃貸で運用すると効果を高めることができると至れり尽くせりなわけです。
それにより、2億円もするマンションが相続税法上の評価額では2千万円
になるようなケースも珍しくありませんでした。

今回の改正は、こうしたタワーマンション節税への対策と見られていたのですが、
フタをあけてみると若干の影響はあるかもしれませんが、ほとんど意味がないものとなっています。

その理由は、本丸の財産評価については改正されていないため、
依然として高い節税効果があること、また最上階と1階の課税格差が
約10%程度であれば誤差の範囲です。
つまり、引き続き「タワーマンション節税」は効果があるといえるわけです。

●問題はマンション運営にも波及する可能性

今回の改正により、マンションの運営にも影響が起きる可能性があると思います。
一般的にマンションは、管理組合によって運営されていますが、
その際の議決権は区分所有者の専有面積の割合で決まっています(区分所有法38条)。

例えば、あるマンションの専有部分の面積の合計が1,000平方メートルの場合に、
ある区分所有者の専有部分の面積が70平方メートルであるならば、
その区分所有者の議決権は「1,000分の70」となるわけです。
ただし、管理規定でこれ以外の割合で議決権を定めることもできます。
そのため、実際の運営では議決権を1戸=1票を採用しているケースが多いようです。

もともと高層階を持っている人からすれば、
「高額で買ったのに議決権がみんな一緒だなんて不平等だ」という主張がありましたが、
「まぁまぁ」となだめられていたことが多かったわけです。

しかし、今回の改正で税率が階数によって変わるとなると、
議決権の配分を見直すべきという意見も増えるでしょうし、
その正当性も高まることになるでしょう。

このマンション運営という観点から見ると今回の改正は大問題になるのかもしれません。

以上です。

テレビなどのニュースでは、比較的好意的に受け止められていたと思いますが、
実際はいろいろな問題がある改正だと思います。

格差是正の意味から言えば一歩前進した感がありますが、
「この程度で是正になるのか」と思われる人が多いでしょうし、
マンション運営をする人から見れば新たな火種が投入された格好でしょう。

この秋の民放テレビドラマで、高層マンション住民のヒエラルキーを
題材にしたものがありましたが、今回の改正が新たな軋轢の原因にならなければよいのですが。。。

さて、今回の報告は以上です。
次回は来年となりますが、また宜しくお願い致します!