諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは
「副業解禁」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!




副業は本当に解禁されたのか? <前篇>

国策で「働き方改革」が推進されつつある現在。
サラリーマンの副業解禁も
大きな話題になっていますから、
「じゃ、私も副業しよう」
と思っている方も少なくないと思います。

ですが、いざ副業をしようと思っても、
まだまだハードルが多いのが現実です。

そこで、今回は副業解禁について
考えてみたいと思います。

●「副業解禁」の実態とは?

最近、テレビや雑誌などでも取り上げられる「副業解禁」。
その実態は、どのようなものなのでしょうか?

国が発表している「働き方改革実行計画」によると、
「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として
副業・兼業の推進に向けた改定版モデル就業規則の策定」があげられています。

つまり、この「改定版モデル就業規則の策定」こそが、
副業解禁の施策だというわけです。

モデル就業規則とは、
いわゆる「就業規則のテンプレ」
です。

厚生労働省は、
「就業規則の作成・提出」の義務を
しっかり守ってもらうために、
一般的な企業が使用できる
就業規則のテンプレートを用意しているのです。

このモデル就業規則が
2018年1月31日付で改正
されました。

その内容は、従来の「原則副業禁止」
としていた項目を削除し、
新たに副業・兼業の条項を追加するもので、
具体的には、以下の通りです。

───────────────────────────────────

(副業・兼業)

第67条 労働者は、勤務時間外において、
他の会社等の業務に従事することができる

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、
事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務に従事することにより、
次の各号のいずれかに該当する場合には、
会社は、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、
信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

───────────────────────────────────

見て頂ければお分かりかと思いますが、
事前に届け出することで
会社の利益に反しない限り、
原則的に副業・兼業を認める
という内容になっています。

多くのメディアで「副業解禁」
と言われている理由は、このためです。

それにも関わらず、
あなたの周りに副業している人は何人ぐらいいますか?
恐らく「ほとんどいない」のではないでしょうか。

そうなると、疑問がわいてくるはずです。
「本当に副業は解禁されているのか?」と。

●本当に副業は解禁されたのか?

結論を言ってしまえば、
おそらく答えはNOでしょう。

平成26年の中小企業庁の調査によれば、
副業・兼業を認めていない企業は約85%ですから、
大半の企業が現在も副業禁止となっているはずです。

ですから、現在あなたが勤めている会社の
就労規則が副業解禁にならない限り、
何も変わらない
というのが実態なのです。

その理由は、今回の副業解禁の具体策にあります。

「副業解禁」の具体的な施策は、
「モデル就業規則の改正」のみ
なのです。

つまり、国全体で副業が解禁になったとか、
法律で副業が認められたとか、そうしたことは一切ないのです。
意外とここを勘違いされている方が多いのではないでしょうか。

モデル就業規則は、あくまでも就業規則のテンプレですから、
企業にとっては参考資料に過ぎないわけです。
つまり、実際に各企業が採用しなければ何も変わらないのです。

では、なぜ、このような遠回りな施策しか
できていないのでしょうか?

「もっと直接的な法律なり、政策なりをするべきだ」
と思われる方もいるでしょう。
その理由は、何が副業を禁止しているのか
を考えればわかると思います。

●何が副業を禁止しているのか?

まず大前提として、サラリーマンの副業は
法律で禁止されていません

(公務員等は法律で禁止されています)

憲法に「職業選択の自由」が
規定されていますから、
就業時間外や休日に何をしていても自由です。

これは、国が「職業選択を縛る法律」を
作れないこと
で保障されています。

一方で、従業員は会社の就業規則を守る義務がある
と労働契約法などで規定
されています。

では、その就業規則に副業禁止と
書かれている場合は、どうでしょうか?
その会社の従業員は、副業を諦めざるを得ないはずです。

就業規則に反して無断で副業すると、
会社の裁量次第では懲戒を受ける可能性があるからです。

この問題は、「就業規則の拘束力がどこまで及ぶのか」
の解釈や妥当性にありますので、
これまでも労働者と事業主間の裁判により
度々争われてきました。

近年の判例では、労働者側に有利な傾向にあり、
会社に不利益を与えない限り
副業を認めるという解釈が増えています。

ですが、実際に会社から懲戒を受けてしまった場合、
あとから法的手続きなどで争う以外に解決方法はない
のです。

これは、1従業員である個人にとっては
リスクや負担が大きく現実的な選択ではないでしょう。

また、仮に裁判で勝ったとしても、
その後に会社に居続けるのは勇気のいることでしょうし、
お金で解決したとしても十分な見返りが得られることはまずないでしょう。
つまり、実際は泣き寝入りをせざるを得ないのです。

このように副業を禁止しているのは、
各企業の就業規則だけ
なのです。

裁判の判例でも原則的に副業は認められていますが、
従業員の立場が弱いこともあり、
長年副業禁止の就業規則が続けられ、
それは現在も続いているのです。

●なぜ「モデル就業規則の改定」だけだったのか?

では、国は副業・兼業を推進すると言いながら
「モデル就業規則の改定」のみに留まっているのでしょうか。

それには、国から見た理屈があるのです。

そもそも国は職業選択の自由を守る立場ですから、
副業を禁止する法律などを作れません。

つまり、国は
「以前からずっと副業禁止していない」
という立場
なのです。

それにも関わらず、慣例的に企業が
就業規則で副業禁止しているので、
これを改善しようという理屈です。

ですが、厚生労働省には、重大な落ち度がありました。

「副業禁止していない立場」にも関わらず、
モデル就業規則にうっかり副業禁止規定を
載せてしまっていたのです。

これは、実質的に「副業禁止」を推奨している
と言われても仕方がありません。

厚労省のこの落ち度は、
現在の働き方改革の方針が出る
ずっと以前から指摘されていましたが、
おそらく省のプライドや責任追及を恐れて、
修正するわけにはいかなかったのでしょう。

仮に修正するにしても
180度方針転換に見えてしまいますから、
何かキッカケが必要だったのかもしれません。

そんな最中の現政権の「働き方改革」は、
まさに渡りに船でした。
ここぞとばかりに「モデル就業規則の改正」
を言い出したのは厚労省側だったのでしょう。

モデル就業規則には企業への強制力はなく、
もちろん罰則などもありませんから、
ほとんど影響がありません。

つまり、厚労省の体面を守りつつ、
不備であったモデル就業規則を修正でき、
ほとんど影響がない(≒仕事が増えない)、
厚労省にとってはベストな案だったのではないでしょうか。

おそらくこれが、副業・兼業推進の具体策が
モデル就業規則のみに留まった本当の理由でしょう。

●本来やるべきだった対策

今回の「モデル就業規則の改定」
が悪かったわけではありません。
実際、モデル就業規則は
多くの企業が参考にしていますから、
企業が就業規則を更新する際には
副業容認に変えることもあるでしょう。

ですが、企業が就業規則を変更するのは、
実はかなり手間がかかります。

まず改正の方針を決め原案を作り、
役員の決裁、従業員過半数の同意・意見書の作成、
書類をそろえて労働基準監督署に届け出と、
すべてが完了するまでに数か月も要するのが一般的です。

ですから、積極的に就業規則を変える企業は
決して多くありません。
数年間変えてない企業が主流でしょうし、
10年以上変えてない企業も珍しくないでしょう。

とは言え、本来であれば就業規則は
毎年更新してもおかしくないレベルで法改正が行われています。
(育児・介護休業法、パートタイム労働法、労働基準法、労働契約法、高齢者雇用安定法などなど)

つまり、モデル就業規則の改正と併せて
本来取るべきだった政策は、
「就業規則の更新義務化」
が必要だったのではないでしょうか

実は、企業には就業規則の作成・届出義務は
あるのですが、更新義務はありません。
(更新した際に届け出る必要はあります)

そのため、法改正などの
本来反映されるべき内容が
就業規則に含まれていない企業が多いのです。

もし、一定期間での就業規則の更新を
義務化していれば、法改正の内容は
反映されることになるでしょうし、
本当の意味での副業解禁も進むことになったはずです。

役所としては、仕事が増えるのでやりたくないでしょうが。。

とは言え、うれしい誤算もあったのかもしれません。
多くのメディアが「副業解禁」だとして報道した結果、
そうした認識が広まり、積極的に就労規則を変える企業が現れたことです。

景気が多少上向いてきていることや、
団塊世代の退職などの影響で
どの業界も人手不足ですから、
「働きやすさ向上」などを
目的として取り組んでいるようです。

このような影響もあり、
副業をはじめようと考えている人も
徐々に増えてきているようです。

一方で、実際に副業をしようとすると、
まだ様々な問題があるのです。

次回は、そうした問題点をまとめてみます。
次回も宜しくお願い致します。