諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回は少し前に話題になった
「ハズレ馬券訴訟」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

ハズレ馬券も経費になる!?ハズレ馬券訴訟に新展開

競馬や競輪で勝った払戻金が
課税されることをご存じでしょうか?
一般的に払戻金は一時所得と見なされ、
所得税が課せられます。

実は、この競馬や競輪の払戻金の課税については、
裁判で繰り返し争われてきた経緯があります。

最近、新たな判決がでたことで
少し様相が変わってきそうな状況になってきました。

今回はいわゆるハズレ馬券裁判についてまとめてみます。

●前提!競馬や競輪の払戻金は一時所得として課税される

まず、大前提として競馬や競輪の払戻金は、
一時所得として課税されます。
一時所得とは、営利目的とした継続的行為ではなく、
労務や役務、資産譲渡の対価ではない
一時的な所得
ことで、その計算方法は、
次のような計算式で求められます。

一時所得の金額=総収入金額―収入を得るために支出した金額―特別控除額(最高50万円)
※収入を得るために支出した金額:その収入を得るために直接要した金額に限る。

注目してもらいたいのは、「収入を得るために支出した金額」。
これを競馬で考えると「当たり馬券の購入金額」のことで、
ハズレ馬券の購入金額は含まれない
のです。

ですが、こうした国税庁の考え方に
異を唱える人が立ち上がり、
「ハズレ馬券も経費として認めるべきだ」
と繰り返し裁判が行われてきた経緯があります。

※詳しくは、過去の記事をご覧ください。
ギャンブルで大勝したんだけど税金取られる?
https://www.y-chohobu.com/archives/320

最近、このハズレ馬券裁判に
新たな判決が加わったとして注目を集めています。

●ハズレ馬券も経費として認められる判決が!?

これまでの解釈を書き換える新たな判決が出されました。

毎日新聞の記事からです。

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外れ馬券訴訟 経費と認定、課税取り消し確定 最高裁

毎日新聞2017年12月15日 16時01分
https://mainichi.jp/articles/20171215/k00/00e/040/268000c

競馬で高額の利益を上げた男性の外れ馬券代が
経費として認められるかが争われた民事裁判の上告審判決で、
最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は15日、
「男性の馬券購入は営利を目的とした継続的行為で、
外れ馬券代は利益を上げるために必要な経費だった」
と判断して、国側の上告を棄却した。
約1億9,000万円の課税処分を取り消した
2審・東京高裁判決(2016年4月)が確定した。

最高裁は15年3月、競馬予想ソフトで
馬券を大量購入していた大阪市の男性が
所得税法違反に問われた刑事裁判の上告審判決で
「長期間にわたり網羅的に馬券を購入し
利益を上げ続けた場合、外れ馬券代は経費」
との判断を示している。
今回の小法廷は15年判例について、
ソフトを使っていないケースでも
適用され得ることを示した。

判決によると、北海道の40代の男性公務員は
05~10年に約72億円分の馬券を購入し、
約78億円の払い戻しを受けた。
国税当局は、払戻金は懸賞金などと同じ
「一時所得」に当たり、
的中馬券代しか経費に算入できないとして追徴課税した。

これに対し、小法廷は男性がコースなどによって
馬券購入パターンを決めて
年間3億~21億円分の馬券を購入し続けており、
払戻金は「雑所得」だとして、
外れ馬券代も経費算入できると判断した。

国税庁は15年判決を受け、
予想ソフトで継続的に馬券を購入した場合などは
例外的に外れ馬券代の経費算入を認める通達に改めたが、
今回の判決でさらに見直しを迫られそうだ。
同庁の初谷武志広報広聴室長は
「主張が認められず残念」、
男性は「競馬ファンをはじめ国民の皆様は
人ごとと思わず、国の姿勢に厳しい目を向けてほしい」
とのコメントをそれぞれ公表した。

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このニュースのポイントは、
ハズレ馬券が経費として認められる判断基準です。
基本的にハズレ馬券が経費として認められることはできません。

それは、競馬の払戻金が一時所得して解釈されるからなのですが、
営利を目的として継続的に馬券を購入する場合は、
一時所得の定義から外れ、雑所得として扱われるべきでは?

という点が争われたのが今回の裁判だというわけです。

実は、過去にも同様のケースで争った判例もあったのですが、
その際はソフトウェアを使って
自動的かつ網羅的に馬券購入していたことから
例外的に雑所得として扱うこととされていました。

そのため、国税庁は2015年5月に次のような通達をしています。

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馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して
独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して
長期間にわたり多数回かつ頻繁に
個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして
当たり馬券の払戻金を得ることにより
多額の利益を恒常的に上げ
一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を
有することが客観的に明らかである場合の
競馬の馬券の払戻金に係る所得は、
営利を目的とする継続的行為から生じた所得として
雑所得に該当する。

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この通達で国税庁が特に強調したかったのが、
「個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして」
の部分だったと思われます。

つまり、どれだけ頻繁に網羅的に
馬券を購入していたとしても、
自分の頭で着順を予想して購入した場合は、
金額規模や頻度を問わず
一時所得として扱う
としていたわけです。

なぜなら、熱心な競馬ファンが
自分で予想を立てながら
頻繁に多額を投じて
利益をあげているケースもあるでしょうし、
そうした人から税金をとれなくなってしまうからです。

今回のニュースにある判決は、この点を覆したことになりました。

今回のケースは、自分の頭で考えた競走馬や
レースの特性等を独自の理論で評価をして
網羅的かつ頻繁に購入したもので、
一般的な競馬ファンの予想と大差ない
と捉えることもできるからです。

つまり、熱心な競馬ファンは
ハズレ馬券も経費にできる可能性を
はらんだ判決と言えるので、
こうしてニュースとして取り上げられたのでしょう。

●それでもまだ負けていない国税庁




今回の判決は、事実上2015年5月の
国税庁通達を否定するものとなりました。

ですが、国税庁も「そだねー」
とすんなり受け入れるはずもありません。

先月、次のような新たな見解を発表しました。

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競馬の馬券の払戻金の所得区分については、
馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、
利益発生の規模、期間その他の状況等の
事情を総合考慮して区分されます。

具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して
定めた独自の条件設定と計算式に基づき、
又は予想の確度の高低と予想が的中した際の
配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、
偶然性の影響を減殺するために、
年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、
年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら
多数の馬券を購入し続けることにより、
年間を通じての収支で多額の利益を上げ、
これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として
100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが
客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。

なお、上記に該当しない、
いわゆる一般の競馬愛好家の方につきましては、
従来どおり一時所得に該当し、
外れ馬券の購入費用は必要経費として
控除できませんのでご注意ください。

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この新たな見解では、前回の通達にあった
「個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして」がなくなっています。

つまり、ソフトウェアの予想だけでなく
個人の予想も認めた格好です。

ですが、タダでは転ばない国税庁は
年間を通じての収支で利益が得られるように
工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより

という新たなハードルを設けてきました。

ここで意味することは、
おそらく「最近負けが込んでるから一発逆転を狙おう」とか
「大穴を中心に網羅的にでっかく狙っていこう」
等という考え方を除外したい、
つまりは一般の競馬ファンからは
従来通り課税していきたい
という意図がハッキリと表れています。

はたしてこのまま通達が
改正されることになるのかどうか、今後の動向に注目ですね。

ちなみに、この見解はパブリックコメントを行った上で、
通達を改正することとしているようです。

※パブリックコメント(4月2日まで募集中)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410290068&Mode=0

モノ申したい方は、一度意見を
提出してみてはいかがでしょうか?

以上、どのようにお感じになりましたでしょうか。

個人的には、国税庁の見解には無理がある気がします。
個人の予想や判断を認めてしまった結果、
継続的な利益追求をした購入であるかを
新たなハードルにしようと目論んでいるようですが、
これは結果的にハードルにできない気がします。

なぜなら、一発逆転を狙った購入や
常に大穴を狙ったものが
常に利益を追求していないとは言えないからです。

個人の予想や判断には多様なものがありますから、
その一部に線引きして
「経常的な利益を追求していない」
と証明することはかなり困難になるのではないでしょうか。

おそらく通達の改正はこのままされることになるでしょうが、
今後引き起こされる裁判でまた覆ることになる気がします。

いずれにしても今後の動向を見守っていきたいところです。

ということで、今回は以上です。
それでは、また次回宜しくお願い致します!