諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

今回は「給与所得控除」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

給与所得控除が減額!?どゆこと?

平成30年度の税制改正大綱が発表されました。
安倍政権の経済政策に倣って
働き方改革や人づくり改革などの
推進を目的にしたものや
賃金向上や投資拡大を狙ったものなどで
まとめられ、全体を俯瞰すると
高所得者への増税傾向が強いもの
になっているようです。

今回発表された税制改正大綱の中でも
多くの人が気になる
給与所得控除の変更についてまとめてみます。

●給与所得控除が減額!?てことは増税!?

今度の税制改正では、
個人所得税に大きな変更があります。
その中でも特に注目なのが、
給与所得控除の変更ではないでしょうか?

では一体どのようにかわるのか、
見てみましょう。

※平成30年税制改正大綱より抜粋

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①給与所得控除について、次の見直しを行う。

  • イ 控除額を一律10万円引き下げる
  • ロ 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850万円、その上限額を195万円に引き下げる。

②上記①の見直しの結果、給与所得控除額は次の通りとなる。

給与等の収入金額 給与所得控除額
162.5万円以下

162.5万円超180万円以下

180万円超 360万円以下

360万円超 660万円以下

660万円超 850万円以下

850万円超

55万円

その収入金額×40%―10万円

その収入金額×30%+8万円

その収入金額×20%+44万円

その収入金額×10%+110万円

195万円

③特定支出控除について、次の見直しを行う。

  • イ 特定支出の範囲に、職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものを加える。
  • ロ 特定支出の範囲に含まれている単身赴任者の帰宅旅費について、1月に4往復を超えた旅行に係る帰宅旅費を対象外とする制限を撤廃するとともに、帰宅のために通常要する自動車を使用することにより支出する燃料費及び有料道路の料金額を加える。

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これだけ見ると、給与所得控除額が
一律で10万円引き下げられてしまうので、
「なんだ増税かよッ」と言いたくなって
しまいますが、同時に基礎控除が
一律10万円引き上げられることに
なっています。次を見てください。

※平成30年税制改正大綱より抜粋

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①基礎控除について、次の見直しを行う。

  • イ 控除額を一律10万円引き上げる。
  • ロ 合計所得金額が2400万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2500万円を超える個人については基礎控除の適用は出来ないこととする。

②上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次の通りとなる。

  • イ 合計所得金額が2400万円以下である個人 48万円
  • ロ 合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である個人 32万円
  • ハ 合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である個人 16万円

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つまり、給与所得控除から10万円分を
基礎控除へ付け替えるというわけです。

例)一般的な給与所得者の場合

控除される金額はかわらないが内訳が変わる

では、一体どうしてこのような変更がされるのでしょうか?

●給与所得控除を変更する理由とは

給与所得者から見ると、
「年収850万円以上の人が増税される」
という印象を持つと思いますが、
自営業者から見ると多くの人が
「減税か」と思うはずです。

今回の変更は、
ここに大きな狙いがあるようです。

現在の政権が推進している「働き方改革」では、
副業を解禁したりすることで
雇用の流動性を高めることを狙っています。

そのため、脱サラしてフリーランスになる人や
起業して仕事を請負うような人を増やすためには、
そうした人にも公平感のある税制へ
シフトしていくべきだと考えているようです。

そもそもこの給与所得控除は、
サラリーマンの勤務に必要な経費
(スーツやカバン等の購入代金等)を
一定金額認めることを目的として
定められたものとされています。

ですが、働き方や職場環境が多様化してきた現在、
職業によって経費は大きく異なりますし、
フリーランス等の自営業者から
「サラリーマンだけ優遇されているのでは?」
と不公平感が募ってきていました。

実際、デスクワーク中心の職場では
スーツ着用を義務付けず
私服を認める企業も増えていますし、
ネット時代の現在は、
出勤せずに在宅ワークをする人も
増えています。

そうした状況で、職業・職種を問わず
サラリーマンというだけで
所得控除を受けられる
という制度自体に問題がある
という指摘が強まってきています。

このような背景が
今回の税制改正へとつながり、
今後とも段階的に減額されていく
ことになりそうです。

●高所得者は実質増税

今回の変更でもう一つ大きいな特徴は、
高所得者に対する実質的な増税です。

給与所得850万円以上の人、
2400万円以上の所得のある人は
実質増税となります。

給与所得控除については、
これまでも段階的に上限が
引き下げられてきましたから、
そうした経緯を知る人であれば
「ふーん」と思うでしょうが、
基礎控除の所得制限については
意外だと思うのではないでしょうか。

そもそも基礎控除とは、
誰もが一律に受けることができる所得控除です。

そこに所得制限がかかるとなると
意外と複雑になる気がします。
(基礎控除というネーミング自体もよくわからなくなりますし…)

とは言え、高所得者に対する増税は
これまでも段階的に進められる傾向に
あったため、ある意味で
必然的な流れなのかもしれません。

以上、いかがでしたでしょうか。

今回の税制改正大綱では、
個人所得課税については
自営業者への負担が軽くなり、
高所得者への負担が重くなる
というものになっています。

現在の社会情勢を見ると
妥当な内容と言えそうですが、
これまでの税制を踏襲し
小手先で変更した感が否めないため、
わかりづらい制度になっていると思います。

当然大きく制度変更してしまうと
社会的に大きな負担を与えることに
なってしまいますから
やむを得ない部分もあると思いますが、
いずれ抜本的に見直す必要がある気がします。

それでは、今週の報告は以上です。
次回のお役立ち情報は
来年の更新となりますが、
次回も宜しくお願い致します。