こんにちは!諜報部長!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

早くも2月です。
もう1か月過ぎたのか・・・って毎年思いますよね。
そして、毎年その速度が速くなっていくような・・・
年を重ねているということですね。

さて、今回も引き続き「2016年多かった税務調査の問合せ
というテーマで報告をしていきます。

<前3回:下記リンク参照>
※2016年多かった税務調査の問合せ~①消費税逃れ2016年多かった税務調査の問合せ~②孫請けがいる下請け業者
2016年多かった税務調査の問合せ~③貿易関連

税理士紹介事業を行う弊社では、税理士さんをお探しの事業主様から、
日々お問合せを頂戴しております。
基本的には、新しく税理士さんと契約したい、現在の税理士さんを変更したい、
という内容が一般的ですが、中には直近の税務調査をお願いしたい!という、
税務調査局面でのお問合せを頂く場合もあります。
今回は、そういった税務調査局面でのお問合せを頂く事業主様に
よく説明することになる事項を「番外編」」としてお話していきます。

2016年多かった税務調査のお問合せ

■2016年多かった税務調査の問合せ~④別の税理士への依頼

前回の報告では、「顧問の税理士がいる」という状況の事業主様から
お問合せを頂いた事例についてお話しました。
その際、「顧問税理士と契約中に税務調査が得意な税理士を利用する場合」
に関しては注意しなければならないことがある!と触れましたが、
今回はそのことについて話をしていきます。

●前提の説明

「顧問税理士と契約中に税務調査が得意な税理士を利用する場合」
と記載しましたが、具体的にすると、下記のようになります。

  1. 顧問税理士を依頼している事業主が、
  2. 税務調査が入る、もしくは入った直後に、
  3. その税務調査の応対について
  4. 税務調査が得意な別の税理士に依頼する。

中小企業にとって税務調査というのは、特定の企業や業種を除き、
そこまで頻繁に実施されるものではありません。
業歴が長い企業であればまだしも、創業から10年くらいの事業者では、
「1回も来たことがない」というところも珍しくありません。

そんな、事業主にとってはただでさえ経験の少ない税務調査の状況において、
「顧問税理士と契約中に別の税理士に依頼を応対する」というのは、
中小企業(※)にとっては、ほぼ間違いなく初の経験になることばかりです。

※大きな企業では、メインの税理士とは別に、役割によって、
 複数の税理士と契約をしている場合もあります。

その分、実際に別の税理士への依頼をご検討される事業主様からは、
目前の税務調査に気をとられて、見落としていたり、気づかなかったりといった内容もありますので、
まずは、こういった前提を踏まえて頂き、どのような注意すべきことが発生するのか?
ということについて話を進めていきます。

●注意事項1:関係性の悪化

これはイメージがつきやすいと思います。

事業主側で何かしらの不正があり、顧問税理士さん側も税務調査で指摘されるまで、
全く知らなかったということであれば別ですが、
そうでない場合は、税務調査という事業主側の大事で、
今まで何年も付き合ってきているのに、「担当を変える」
というような話ですから、既存の顧問税理士さんからしたら、面白いわけがありません。

かなりの確率で、その後の関係は悪化することが濃厚です。
契約上、税理士は事業主から「依頼されている」立場ですから、
自ら簡単に契約を解除するということはできませんが、
現在の顧問の税理士の立場からすると、
「今後もその人に見てもらったらいいんじゃないでしょうか?」
ということになるはずです。

ただし、逆に考えると、この税務調査をきっかけに
「この税理士と付き合いはもう止める!」と思うなら、話が早く進むかもしれません。

●注意事項2:費用は結構かかります

これも注意が必要です。

顧問の税理士さんに対しても、通常の顧問料とは別に、
税務調査立会費(税理士日当)や、修正申告料を支払うことになるのが、税務調査です。

「え?調査の立ち会い費用って顧問料に含まれていないの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは当然です。

上記の通り、殆どの企業にとって税務調査は毎年行われるわけではありません。
だからこそ、税理士事務所側は
「実施するかわからない報酬は事業主には請求していない」ということなのです。
通常の顧問料に、税務調査費用まで組み込んだら、それこそ高くなってしまうのです。

ですが、そこで追加で提示される税務調査立会費や修正申告料でさえ、
「既存の顧問先」だからこその料金です。
通常時に関与しているため、ある程度の実情理解があり、
過去の決算書類も手元にあり、やり取りもスムーズに進む、
こういう状況があっての費用なのです。

一方、税務調査局面から依頼する場合の税理士は新規のやり取りになります。
一からは事業主の状況を把握し、初見の書類を確認しながら、進めていくことになります。
つまり、今後の関与は別にしても、既存の税理士の調査関連費用よりも、
税務調査局面から依頼する税理士への調査関連費用の方が高くなりがちです。
それこそ、依頼後の相談料すら発生する事務所もあったりします。

そのため、今回の調査の対象となっている金額がそこまで大きくない場合は、
仮に税務調査が得意な税理士が応対に入ったことにより納める追加税額が少なくなったとしても、
合算してみると、税理士を新たに付けて応対してもらうことによる
金銭的なメリットは少ないかもしれません。

●注意事項3:納税額が低くなるとは限らない

これも、状況に応じて想定した方がいいかもしれません。

今までの申告を顧問の税理士が応対している分、杜撰な決算書類ではなく、
きちんとルールに則った申告書や帳簿が出来上がっていることだと思います。
その分、税務調査での論点も、ミスを指摘していくのが中心で、反論の余地があまりない状況だとすると、
わざわざ税務調査が得意な税理士さんを頼んでも、顧問の税理士さんと
大して結果が変わらないという場合もある
かもしれません。

ただし、このリスクに関しては、依頼前の相談である程度明瞭になると思います。
あまり良い話ではないですが、既存の税理士さんが適当で、
新しい税理士が見ると誤りがボロボロ出てくる・・・という場合もあります。
そういった税理士さんに頼んでいたという事実は大変不幸なのですが、
この場合においては、別の税理士を頼む意味がありますので、
まさに「不幸中の幸い」となるかもしれません。

ですので、いきなり税理士さんに依頼!ではなく、
まずは相談を経てから、依頼するか決定するようにした方が良いです。

●でも、理想は・・・

上記のように報告して参りましたが、
理想としては「顧問の税理士さんに応対してもらうのがベスト」です。

税務調査に入られるということは、業歴も数年以上経過しているはずで、
税理士さんとの関与も毎年変更してばかりの事業主でない限りは、
同様に経過しているはずです。

となると、外部の人で事業主、並びに企業の実情を一番知っているのは
「顧問の税理士」である可能性が高いのです。一番の理解者なはずなのです。

ですので、どうしても!!という場合以外は、
税務調査局面では顧問の税理士さんと乗り切る前提で
お考え頂くのが良いかと思います。

さて、今回の報告は以上です。
4回にわたって「2016年多かった税務調査の問合せ」というテーマで
報告をして参りましたが、いかがでしたか?

次回からは、また別テーマで報告していきます!
また、次回宜しくお願い致します。