諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです!

寒い日が増えてきましたね。。。
皆さんも、インフルエンザ等ご注意くださいね!

さて、今回の報告は、昨今の話題となっている
カジノ法案」について調べていますので、
報告内容をご覧ください。

■衆院可決!ド~なる?!カジノ法案

カジノ法案が2016年12月6日衆院本会議で可決されました。
これにより、今国会でカジノ法案成立の見込みが大幅に高まったようです。

お金諜報部としても「カジノ」と聞いて見過ごすわけにはいきません。
「一体どんな法案なのか?何が問題なのか?」についてまとめたいと思います。

●カジノ法案とは

正式には、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」で、
通称「統合型リゾート(IR)整備推進法案(カジノ法案)」と呼ばれています。

また、IRとは、Integrated Resort(インテグレーテッド・リゾート)の略で、
カジノを含むホテルやショッピングモール、コンベンション施設もある複合施設のことです。

この法案は、超党派の議員連盟「国際観光産業振興議員連盟」が
2011年に公表したのを始めとして、以後、自民・維新・次世代の党などが
修正を繰り返してきたものです。

今回のこのカジノ法案が、衆院本会議で可決されたことで、
急に注目を集めた格好になりましたが、
実際どのような法案であるかを正確に理解している人は
少ないのではないでしょうか。

実際に法案を見ながら確認してみましょう。

●カジノ法案の目的と内容とは

今回のカジノ法案の目的と趣旨はどのようなものなのでしょうか?

まずは、法案を見ながら確認してみましょう。

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特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、
観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、
特定複合観光施設区域の整備の推進に関する
基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、
特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、
これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、
カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた
民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)
及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設
その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、
民間事業者が設置及び運営をするものをいう。

2 この法律において「特定複合観光施設区域」とは、
特定複合観光施設を設置することができる区域として、
別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域をいう。

(基本理念)
第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、
地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、
地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される
健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。

(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、
特定複合観光施設区域の整備を推進する責務を有する。

(法制上の措置等)
第五条 政府は、次章の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、
このために必要な措置を講ずるものとする。この場合において、
必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない

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この法案の第一章に非常に重要なことがかかれています。

この法案の目的は、基本理念や方針を定め、推進本部を設置することです。
つまり、カジノに関する具体的な内容は一切なく、
カジノを含むIRを推進するための組織を設置することが目的なのです。

ですから、カジノ法案という呼び方は誤解をまねくもの恣意的なものだと思います。
通称で呼ぶとしたら、「カジノ推進法案」または「カジノ準備法案」とするべきでしょう。

ただ、この法案が全く何も決めていないかと言うとそうではありません。
主に次のようなものが、決められています。

  • IRは、民間企業が設置し運営する。
  • IRを設置できる区域は、地方自治体が国に申請し承認を得る必要がある。
  • カジノの収益から国または地方公共団体が納付金を徴収できる
  • 必要な法制上の措置は、本法案施行後1年以内を目途に講じなければならない

また、カジノと言えば不正や犯罪の温床になる懸念がありますが、
その対策として二章以降に規制条項が設けられています。

  • 内閣府の外局にカジノ運営委員会を設置し、カジノ施設関係者に規制を行う。
  • カジノ施設関係者は、カジノ管理委員会の規制に従わなければならない。
  • カジノ施設関係者は、カジノの不正行為や有害な影響を排除する措置を講じるものとする。

ですが、あくまでも大枠の方針だけで詳細な規定については、
これから推進本部が整備する法制によって決められることになります。

つまり、本当のカジノ法案は、これから検討され決められることになるわけです。
ニュースなどでカジノ法案が可決されたと報道されていますが、
実際にその内容を見ると大きく印象が変わったのではないでしょうか。

●そもそもカジノって儲かるの?

今回の法案は、地域振興や財政改善を狙ったものですから、
それなりに経済効果があるとされています。

現段階では、具体的な施設内容や税率が決まっている
わけではありませんから、経済効果がどうなるかわかりません。

参考として、世界の状況を見てみましょう。

●カジノの市場規模(2012)

全体的には横ばいですが、アジア市場だけ拡大しています。
その理由として、マカオ、シンガポールが伸びたためです。

ただし、近年マカオの売上が大幅に減少してきていると言われているため、
直近の状況がどうであるかは定かではありません。
そのマカオの売上は、5兆円程度と言われていますから、
仮に日本にカジノが出来た場合も同程度のものになることが期待されています。

しかし、次のグラフを見ると印象が大きく変わるのではないでしょうか?

●パチンコホールの売上推移

※出典:一般社団法人 日本遊技関連事業協会
http://www.nichiyukyo.or.jp/gyoukaiDB/m6.php

このグラフは、日本国内のパチンコホールによる売上推移です。
パチンコがギャンブルであるかないかの論争はさておき、
年々減少してきていると言われているものの23兆円市場なのです。

これは、先ほどのアジア全体のカジノ市場を上回る巨大な規模です。
カジノなんかよりパチンコの方が遥かに巨大市場であるというわけです。

●パチンコに課税すればいいんじゃないの?

これから作るカジノ市場よりパチンコ市場に納付金を義務付ければ、
財政改善には効果的で良いのではないかという疑問がわきます。

そもそも、今回のカジノ法案を最初に提出した
超党派の議員連盟「国際観光産業振興議員連盟」は、
パチンコの合法化も目的にしてきた経緯があります。
パチンコを合法化し、国庫や地方自治体への納付金を
義務付ければ、特に何を整備することなく巨大な財源になるはずです。

ですが、現段階ではカジノ法案の推進が先行する形となりました。
様々な政治的な背景や利権構造が絡んでいるのかもしれませんが、
今後の動向に注目していく必要があるでしょう。

以上、いかがでしょうか?
カジノ法案の内容をよく見ると、大枠の方針しか決まっておらず、
具体的な法制はこれから決められることがご理解頂けたと思います。

そして、これから始まるであろう具体的な法制の検討が、実は一番難しいのです。
特にカジノには不正や犯罪、ギャンブル依存症の問題など様々な課題が山積しています。
議論が紛糾するのは必至でしょう。

そういう意味では、今回の法案で一番のキモは、
「カジノ関連法案の整備を1年以内」と期限を切ったことなのかもしれません。

次回は、今後のカジノ法制の検討で重要な議題になるであろう
「カジノの税金」についてまとめてみたいと思います。
次回も宜しくお願い致します。