諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです!

今日は10月最終日!
月末はバタバタですね~

さて、今回は「サラリーマンの副業解禁」について調べていますので、
報告内容をご覧ください。

■サラリーマンの副業が解禁される!?

「働き方改革」に取り組んでいる現政権ですが、
先日サラリーマンの方には嬉しい(?)ニュースが飛び込んできました。

働き方改革の一環として「副業・兼業」の解禁に関する研究会を新設し、
前向きに検討することのようです。
ということで、今回は、サラリーマンの副業解禁についてまとめてみます。 

●政府が副業・兼業解禁へ向けた検討を開始

冒頭ご紹介した通り、政府が副業・兼業の解禁へ向けた検討を始めるようです。

時事通信10月19日の記事からです。

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副業・兼業解禁へ研究会=働き方改革推進-政府

政府は19日、働き方改革の一環として柔軟な働き方を広げるため、
「副業・兼業」の解禁に関する研究会を新設する方針を固めた。

雇用関係によらない「フリーランス」の働き方を議論する研究会とともに、
11月中に経済産業省内に設置する方向で調整する。

副業・兼業は、多くの企業が就業規則などで禁止しているが、
最近では容認する動きも出てきた。
2014年の中小企業庁の調査では、3.8%の企業が容認していた。

政府が副業・兼業の解禁を検討するのは、企業が抱える有能な人材を広く活用するのが狙い。
複数のキャリアを積むことで従業員の成長につながるとの期待もある。
一方、労務管理が困難になったり、長時間労働を誘発したりする懸念も指摘されている。

フリーランスは雇用契約を結ばず、仲介業者などを通じて仕事を受注し、収入を得る働き方。
専門性を生かせる好きな仕事を選びやすいとされるが、収入が不安定になる問題もある。

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あくまでも検討を開始する段階ですので、ぬか喜びはできませんが、
副業・兼業の解禁へ向けて大きな一歩と言えそうです。

●そもそも副業って禁止なの?

この記事のように「副業・兼業解禁へ」と言われると、
副業・兼業が法律で禁止されているように感じてしまいます。

大前提として、副業・兼業を禁止する法律はありませんし、
憲法22条で職業選択の自由が保証されています

※補足:公務員等の方は副業・兼業は法律で禁止されています。ご注意を。

ですから、「副業・兼業解禁へ」という表現自体がタテマエ的にはおかしな話なのです。
しかし、サラリーマンの方は感じていると思いますが、
実際のところは副業禁止されていますよね?

実は、9割以上の会社の就業規則には副業を禁止する規定があるのです。
就業規則を違反すると懲戒処分を受ける可能性がありますから、
怖くて副業なんてできないというのが実態でしょう。

※この副業禁止の解釈や心構えは
 以前の記事にまとめてありますのでご覧ください。
参考)サラリーマン副業のススメ②-副業するときの注意事項
   https://www.y-chohobu.com/archives/815
参考)サラリーマン副業のススメ③-副業するときのリスク
   https://www.y-chohobu.com/archives/832

つまり、今回検討されるのは、タテマエではなく実態的な部分で検討するということなのです。

●副業を解禁する企業が徐々に増えてきている

もともと企業が副業を禁止している理由は、
「会社に損害がでないようにしたい」ということでしょう。

勤務時間中は心身ともに万全な状態で働いてもらいたいし、
会社の信用を損ねたり、技術流出や情報漏えいの原因になりかねないと考えれば、
禁止したいと思うのは当然かもしれません。

しかし、状況は少しずつ変わってきているようです。

【製薬メーカー大手ロート製薬の場合】

製薬メーカー大手のロート製薬が今年2月に斬新な発表をしました。
メディアなどでも大きく取り上げられたので知っている方も多いのではないでしょうか。

その内容は、「社外チャレンジワーク」という制度で副業・兼業を認めるというものです。
この制度を導入した理由は、「社員が副業によって得た経験や発想がほしい」ということです。

制度化するにあたって当然副業・兼業の懸念やリスクも考慮されたようですが、
「兼業解禁のよるリスクを過度に恐れるよりも1つの仕事、1つの会社の枠にしばることで
失われるものやリスクこそ懸念した方がよいと判断しました」とのこと。

その他にも、グループウェアを開発するIT企業サイボウズや
プリンターの富士ゼロックスなど以前から副業を解禁しており、
その成果も上がってきているようです。

●企業が副業解禁する背景

このような企業の動きには、大きく3つの背景があると思います。

①とにかく人手不足

労働力人口も減少してきていますから実質的に人手不足が続いていることに加えて、
特定の技能を持つ専門職などにおいては、引っ張り凧状態です。
専門性の高いIT業界などでは副業でも在宅でもいいから手伝ってほしいという状況です。

②とにかくイノベーションしたい

長期間のデフレの影響もあり、あらゆる市場が飽和状態で
新たなニーズを作り出さないと生き残れないと言われて久しいですが、
実際にイノベーションに成功した企業は一握りでしょう。
なぜイノベーションが起きないのかを考えると、
同じ社内に閉じこもった社員同士でいくら考えても新しい発想が生まれてこない
ということに気がつき始めたのでしょう。

③とにかく副業の幅が増えた

インターネットやスマホの普及により、ちょっとした空き時間にバイトができたり、
アフィリエイトやクラウドソーシングのように
不特定多数に簡単に業務委託できるようになってきています。
特に副業を意識せずに自然と始めてしまっているケースも少なくないでしょう。

こうした背景から、1社に捉われない多様な働き方を認める傾向が
徐々に強まってきていると言えると思います。

●具体的に検討するとなると問題も多い

多様な働き方、副業・兼業OKというニーズが高まってきている状況ではありますが、
社会保障の面から見ると、意外と問題が大きいことがわかります。

例えば、2つの会社で兼業している人がいるとします。
労働時間は合計で週40時間で、合計の労働時間は
一般の会社員と変わらないものとします。

この場合、社会保険はどちらの会社で加入するのでしょうか?
どちらかの会社または両方の会社で社員として雇用されているのであれば、
所定の手続きでどちらか一方の会社で加入します。

しかし、両方の会社でパートとして雇用されていた場合は問題が生じます。

パートの場合、一般的に1週間の所定労働時間が30時間以上であれば社会保険に加入されるのですが、
それぞれ週20時間ずつ働いた場合、どちらの会社から見ても加入条件を満たさないため、
会社が社会保険料を負担することはありません。
つまり、合計の労働時間は一般の会社員と変わらないのに
社会保険に加入できない可能性
があるのです。

「それなら週15時間とかに加入条件を引き下げれば?」と言いたいところですが、
それはそれで必要以上に加入者を増やすことになりかねません。
これには企業側も反対するでしょう。

●大切なのは制度の柔軟性

このように副業・兼業を推進しようとすると、様々な制度設計を見直す必要がでてくるわけです。
とは言え、副業・兼業のニーズは今後とも高まっていくでしょうし、
制度を見直さずにこのまま続けていくことも難しいでしょう。

以前の記事でご紹介した「106万円の壁」のように
変わりつつある社会保険制度とも整合性を考えなくてはなりません。

参考)扶養控除に新たな壁!106万円の壁って?
   https://www.y-chohobu.com/archives/1166

そのような多様なニーズに合わせて
どこまで柔軟な制度にできるかが大切になってくるものと思います。

以上、いかがでしたでしょうか。

副業・兼業解禁に向けて検討が始りますが、
実際に解禁されるまでには意外と多くの問題があります。

一般的に社会保障などの大きな制度変更を検討すると、
得する人・損する人が生まれてきますので、結局着手できずに頓挫してしまいがちです。
ですから、副業・兼業の解禁が実現されるまで、
しっかりと関心を持ち続けることが一番大切なことかもしれませんね。

さて、今回はこれで終了となります。
次回も宜しくお願い致します。